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ここまでのリーグ戦でチーム唯一となる全試合スタメンフル出場を果たしている山口蛍。「チームを支えてくれたサポーターの皆さんに結果で返すのが一番」。そう語る背番号5は、自身の特長である豊富な運動量を武器に、最後まで戦い抜く覚悟を固める。ヴィッセルにとって初となるタイトルを獲得し、サポーターへ感謝の気持ちを伝えるために。

ヴィッセルに加入したからこそ得られた経験があった

―11月6日に発表された、2022FIFAワールドカップカタール大会のアジア2次予選を戦う日本代表に選出されました。今年の3月以来の代表復帰となります。 「現時点ではまだチームのJ1残留も決まっていない中で、チームを離れるのはいろいろな意味で複雑ですが、選んでいただいたことは光栄に思います。前回のW杯ロシア大会を終えて継続的に呼ばれてきたわけではないし、前回の招集から約8カ月ぶりの日本代表戦なので、試合に出場できればまずはチームのためにしっかり戦うことだけを考えたいと思います」

―3年後のカタール大会はご自身の中でどんなふうに描いていますか? 「もしかしたら1〜2年後には意識しているかもしれないけど、今の時点では特に描いていません。まずは僕自身がヴィッセルでしっかりプレーすることや、このチームを毎年継続的に上位で争えるチームにすることが第一で、日本代表でのプレーもそれがないと始まらないから」

―ヴィッセルへの移籍を決断した今シーズン。長年在籍したセレッソ大阪からの完全移籍は大きな決断だったと思いますが、ここまでの時間は充実したものでしたか? 「シーズンを通してみれば個人的にも、チームとしてもいい時、悪い時があったけど、このクラブに移籍をして後悔するようなことは一つもありませんでした。ヴィッセルに加入したからこそ得られた経験はたくさんあったし、すべてが自分の財産だと言い切れる時間を過ごせてきたと感じています。実際、世界的にも知られている外国籍選手が顔を揃えた中で、同じピッチに立ち、一緒にボールを蹴ったからこそ得られたことはたくさんありました。特にアンドレス(イニエスタ)は同じポジションで、彼のそばでプレーできること自体が名誉なことだと思っていたし、これを盗もう、学ぼうと意識せずとも一緒にボールを蹴るだけで感じ取れることがたくさんあります。だからこそ、普段の練習から彼とサッカーをする時間をすごく大切に考えて過ごしてきました」

―チームとしては開幕5試合を3勝1分1敗とまずまずのスタートを切りながら、シーズン中盤にはリーグ戦7連敗と苦しみました。『波』の理由をどう感じていましたか? 「7連敗中はアンドレスやルーカス(ポドルスキ)、ダビ(ダビド ビジャ)らがケガなどで離脱することも多く、正直、それが結果に直結してしまったところはあったと思います。ただ、裏を返せば彼らがいないことが理由になってしまっているようでは情けない。その反省があったから、この終盤戦は彼らがいなくてもある程度戦えるチームになってきたし、それは『成長』だと言えるところですが、あの時期に関して言えば、起用される選手によって浮き沈みの波が生まれてしまうくらいのチーム力しかなかったということだと思います」

―6月には今シーズン3人目の指揮官となるトルステン フィンク監督が就任しました。フィンク監督によってチーム内に生まれた変化を教えてください。 「今シーズンのスタートから『ポゼッション』をずっと大事にして戦ってきましたが、より具体的に『どういうふうにボールを保持していくのか』についてはフィンク監督が一番、明確にしてくれたんじゃないかと思います。もっとも、フアンマさん(フアン マヌエル リージョ元監督)も『ポゼッション』を求めてきたのは同じですが、あるゾーンからは自由にプレーすることを許されていました。それを僕たち選手がうまく表現できなかったという反省もありますが、結果的にフィンク監督のように役割を明確にしてくれるほうが日本人選手はやりやすかったのかもしれません。実際、それによってチームがスムーズに機能し始めたし、そこに(飯倉)大樹くんや(酒井)高徳、トーマス(フェルマーレン)ら、経験のある選手が後ろに増えてチームが落ち着いたところはありました。ただ、結果を見てのとおり、この時期になってもまだまだ波があります。得失点ということでも、得点(53)は毎試合1点は取れているので心配していないけど、失点(54)は多過ぎる。そこを半分に減らせばもっと勝ちがついてきたと思えばこそ、守備については引き続き課題として取り組んでいかなければいけないと思います」

―第22節の大分トリニータ戦からシステムを3-5-2に変更したこともチームに安定をもたらしたように思います。 「その時期は本当に失点が多かったと考えても、後ろをやや厚くするのは仕方ないというか、結果的に一番フィットしたシステムにはなったのかなと。ただ僕自身は、システム以上に大樹くん、高徳、トーマスの加入がチームを落ち着かせてくれたように思います」

―その中で山口選手はボランチではなくインサイドハーフとして起用されることも多かったですが、そのチャレンジにはどんな手応えを感じましたか? 「かなり昔とはいえ、セレッソ時代にもやったことのあるポジションでしたが、当時とは役割も全然違ったし、個人的にはやっぱりボランチで勝負したいと思っていました。ただ、監督から『チームにとっては、蛍のベストポジションはインサイドハーフだ』と言われたので、チームがうまくいくならと前向きに受け止めていたし、ある程度の結果は残せたと考えても、今となっては良かったのかなと。ただ面白さを感じているのかと言われれば、そうでもないです。我慢する時間も長いし、なかなかボールが来ないことも多いですしね。やっぱり僕は試合の中でたくさんボールにふれたいタイプで、それがあってこそ自分の特長を出せるとも思っているので、ボランチで勝負したいという気持ちは常にあります。といっても、まずは監督に求められる仕事をすることを第一に考えているので。やる限りは前向きに、チームのためにプレーしたいと思っているし、僕に限らず一人の選手が2〜3つのポジションをできるようになればチームとしての戦術の幅が広がるんじゃないかと思います」

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つづきは、オフィシャル月刊誌「ヴィッセルスマイル」Vol.63[DEC.2019]でお読みください。

ヴィッセルスマイル Vol.63[DEC.2019]
  • 編集長スペシャル企画!1年を振り返る『Vスマ』忘年会を開催!/大﨑玲央選手×前川黛也選手×田中順也選手×古橋亨梧選手
  • VISSEL SMILE SPECIAL ISSUE/山口蛍選手
  • DAVID VILLA 今シーズン限りでの引退を発表/ダビド ビジャ選手
  • ヴィッセル神戸×三陽工業株式会社 スペシャル座談会/大﨑玲央選手&小川慶治朗選手
  • 秘蔵PHOTO COLLECTION/藤本憲明選手
  • ダイヤの“裏”いぶき日記/前川黛也選手 など

価格:500円(税込)

「ヴィッセルスマイル」の詳細

山口蛍

Profile
山口蛍(やまぐち・ほたる)
豊富な運動量を武器に攻守に貢献するプレーが特長。ドイツでプレーした半年間を除いてアカデミー時代からセレッソ大阪に所属していたが、今シーズンヴィッセルに加入した。ここまでチームで唯一、リーグ戦で全試合先発フル出場を果たしている「ヴィッセルの心臓」。
1990年10月6日生まれ、三重県名張市出身、173cm/72kg

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