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攻撃的パスサッカーを目指す今シーズン、チーム全体をオーガナイズする役割を担っている藤田直之。
「難しさと楽しさの両方を感じながらプレーできているのは選手として幸せ」と充実ぶりを語る背番号14は、「チームが勝つために必要な判断、仕事を」という思いのもと、豪華な攻撃陣の個性を最大限に引き出すべく、「周りを生かし、自らも生きる」最高のバランスを追い求め続けている。その先に、目指す“結果”があると信じて。

周りの選手の良さを生かし、その中で自分も生きたい

―『Vスマ』特集ページへの登場は、移籍初年度の2016年3月以来になります。当時は「プレーの幅や発想を広げていけそうな予感がある」と話されていましたが、この2年半でその実感はありますか? 「単純に監督が変われば、チームスタイルや考え方も変わるし、それを吸収しようとするだけで当然、プレーの幅や発想の広がりはありますからね。実際、昨年の夏にタカさん(吉田孝行監督)が就任されて、前監督から受け継がれたものもあった反面、チーム作りの進め方や求められる細かな役割は違ったし、その新しい役割を新鮮に受け止め、向き合えてきたことがプレーの変化につながってきた部分もあったと思います。その中で、今シーズン序盤は『メンバー外』からスタートしましたが、それは監督が今シーズンのサッカーで求める僕の役割に物足りなさを感じられていたからで、そこから始まって今は試合に出場できているということは、少なからず求められる役割をできつつあるのかな、と。僕自身はそこも変化の一つだと受け止めています」

―具体的に今シーズンのサッカーにおいて、吉田監督からはどんな役割を求められているのでしょうか? 「今年からチームがパスサッカーを目指す中で、開幕前から『ボランチがボールを保持する時間を短くすることでリズムを見いだしたい。もっとシンプルにプレーしてほしい』と言われていました。だからこそ、トレーニングからその改善を意識してきたし、試合に出るようになった今もそこは変わっていません。ただ、シンプルにプレーすることを心掛けながらも、ピッチでしか分からない風景もあるというか。実際、相手が攻撃のスイッチを入れようとしている気配を感じることもあって、だからこそあえてパスを出さずに一呼吸おくとか、2タッチで出そうとしていたところを3タッチにするとか、プレーを遅らせる判断をする時もある。……ということを最近でこそ、ピッチで体現できるようになりましたが、試合に出始めた頃は、それまでの出ていない流れを踏まえて、監督に求められるプレーをすることだけに思考が偏り過ぎていた自分もいました。そういう意味では、ある程度結果がついてくるようになったことで、そういう判断ができるようになってきたとも言えます」

―昨年の戦いを踏まえ、前半戦はルーカス ポドルスキ選手をチームとしていかに機能させるかが課題の一つでした。ボランチを預かる中では『中盤のバランス』にどんな手応えを感じましたか? 「前半戦にボランチを組むことの多かったタマ(三田啓貴)は、どちらかというと前への推進力があり、少々後ろ目でボールを受けても前に運んでいける選手ですからね。それもあってルーカスがボランチの近くまで落ちてきたとしても、FWが孤立するようなことはなく、お互いがいい距離でプレーできていたように思います。もちろん、仮に両ボランチが守備的な選手になれば、その分、守備が堅くなるという利点があるわけで、最終的にはチームとしての結果で判断される部分もありますが、少なからず前半戦は前への推進力があるタマがいたことで、僕がやや下がり気味に、タマが少し前気味にポジションを取って、その脇をルーカスが動くというように、個の特性を生かしつつバランスも取れていたという手応えはありました」

―後半戦に入り、ポドルスキ選手がケガで離脱する中、アンドレス イニエスタ選手が加わった中盤にはどんな手応えを感じていますか? 「アンドレスはすごくポジショニングがうまく、僕がディフェンスラインからボールを引き出し、前を向いた瞬間には確実にパスを出しやすいポジションにいてくれますからね。そこの機能は僕が考えるまでもなくスムーズにやれていると思います。ただ、相手もアンドレスにはボールを受けさせたくないという考えは当然ありますから。マークが厳しく、『今、出しても無理だな』という時は、サイドチェンジを効果的に繰り返してアンドレスへのマークが緩む工夫をしつつ、一瞬の隙をついて早めにボールをつけることを心掛けています。それに対して彼も「今は(効果的に攻撃につなげられる)タイミングではないな」と思ったら簡単にボールを返してくれるし、ほんの少しでも隙があれば前を向いて展開し、周りを生かしてリズムを作ってくれるので、すごくやりやすいです」

―イニエスタ選手を後ろから使う自分を客観的に見て、不思議な感覚はありますか? 「そこなんですよ。先日も地元の友達に『お前からイニエスタに指示を出していかなアカンやろ』と言われて、何か不思議な会話になっているなって思ったんです(笑)。ただ、『チームを勝たせる仕事』としては、そういう役割も必要だとは感じています。といっても、これは一方的なものでは決してなく、例えばアンドレス自身も『プレッシャーをかけに行く時に、左右どちらに行くべきか指示を出してくれ』というように求めてくれますから。彼ほどの経験と頭の良さがあれば、ある程度は自分で察して動けるはずですがそれでもチームとしての連動を考えればこそ、後ろからの僕らの指示も尊重してくれるし、すごく献身的に守備もしてくれる。本当に素晴らしい選手だと思います」

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つづきは、オフィシャル月刊誌「ヴィッセルスマイル」Vol.50[AUG.2018]でお読みください。

ヴィッセルスマイル Vol.50 [SEP.2018]
  • 副編集長スペシャル企画「ガチンコ釣り対決!」/
    前川黛也選手×安井拓也選手×宮大樹選手
  • VISSEL SMILE EXPRESS/藤田直之選手
  • VISSEL LAB/渡部博文選手
  • 秘蔵PHOTO COLLECTION/郷家友太選手
  • 荻晃太選手コラム「ドレスコードはありません」
  • “裏”いぶき日記/前川黛也選手
  • コーチングスタッフインタビュー/咲花正弥フィジカルコーチ など

価格:500円(税込)

「ヴィッセルスマイル」の詳細

藤田直之

Profile
藤田直之(ふじた・なおゆき)
卓越した戦術眼やバランス感覚、多彩なパス能力を生かしてチームをオーガナイズする一方で、高精度のプレースキックやロングスローで得点機も創出する。今シーズンは本職のボランチだけでなく、4-3-3ではアンカーの役割も担い、攻守両面でチームを支えている。
1987年6月22日生まれ、福岡県飯塚市出身、175cm/72kg