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スチュアート・バクスター氏 インタビュー

頑張れ日本!!

私が今回来日を決めたのは、今回の地震、そしてあの恐ろしい津波の映像をテレビで見たからです。
そしてその映像を見たとき、頭に浮かんだのは「日本のために何かしたい」という思いでした。
その後、私と私の家族はスウェーデンで日本への義援金を集める目的のチャリティーを行っていましたが、今回チャリティーオークションを実施できるということで、こうして日本へ戻ってきたわけです。

今回の震災の様子はライブで見ていました。
朝のテレビニュースだったのですが、本当にショックで言葉も出ませんでした。
朝、出掛けなければならないタイミングだったので、その後は娘のノートパソコンで状況をチェックしていました。
地震の映像を見ると、私は95年のことを連鎖的に思い出してしまいます。
当然、神戸の町を思い出しているのです。
しかし、今回の震災はあのときと違い、津波というものが大きな被害をもたらしました。
スウェーデンのテレビでは、日本の地図が出て、神戸の辺りまで津波があたかも押し寄せるかのようなかのような報道でした。
私の大切な友人が、神戸には大勢住んでいます。彼らのことが心配でなりませんでした。

私は95年の地震を経験するまで、大きな地震というものは経験したことがありませんでした。
もちろん地震が全くないわけではありませんが、本当に微々たる揺れです。
ですから私は、95年の地震を経験したことで、日本のおかれた大変な状況を少しは理解できていたと思います。

誰もが大変な状況であることはもちろんですが、ここで重要なのは最も辛い思い、そして怖い思いをしているのは子供であるということです。
そして子供というのは、明日に向かう希望なのです。 ただ、私は95年に日本人の精神力、そして勇敢さに感動しました。
今回の厳しい状況も、きっと乗り越えるだろうと確信しています。
それでも、私が少しでも何かできることがあるならば、日本に戻ってきたかったのです。

95年当時のことは今でもよく覚えています。
本当に厳しい状況でした。

あのとき私たちにできたことは、サッカーを続けることで、災害から立ち直ろうとする皆さんに勇気を与えることでした。
そのためには、まず自分達の困難は無視することが必要でした。
サッカーとは人々にエネルギーを与えることのできるスポーツだと、私は思っています。
最初の試合は2000人か3000人と観客も少なかったです。
それでも、最後Jリーグ昇格を決めたときには、スタジアム(神戸ユニバー)を満員にするだけの方が、私たちのサッカーを見に来てくれたのです。

辛い状況にある人でも、90分間だけはその状況を忘れてもらえるようにするのが、私たちの仕事です。
そして一生懸命に戦っている姿を見てもらうことができれば、それは必ず見ている人に勇気を与えることになるはずです。
あの当時、見に来てくださる方も、私たちも困難な状況におかれていることは理解してくださっていました。
ですから、勝敗だけではなく、戦う姿に共感してくれたのだと思っています。

私の母がかつてこんなことを言ってくれました。
「あなたを柔くするものが、あなたを強くしてくれる」
あの地震、そしてヴィッセルでの経験を経て、そういう気持ちを実感として理解することができました。

今回、仙台や鹿島、水戸、栃木といったクラブが被災したことは承知しています。
仙台や鹿島、水戸とは戦ったこともあり、思い出のあるクラブです。
彼らにかける言葉があるとするならば、「サッカーと人生には共通点がある。それは苦しいときに強くなる」ということです。
一日も早い復興と、その地域の人がこころからサッカーを楽しめるようになることをお祈りしています。

私の娘で、今回一緒に来日しているナタリーがスウェーデンで義援金活動をしています。
6月7日にはスウェーデンでEURO2012の予選としてスウェーデン対フィンランドの試合がストックホルムで行われます。
その試合当日にはGOAL FOR THE FUTUREと題したイベントを行います。
このgoalという単語には二つの意味が込められています。ひとつは復興するという意味のgoal、そしてもう一つはサッカーのgoalという意味です。
当日、試合会場で食事会を行い、そこで私とナタリーがプレゼンテーションを行う予定です。
そしてチャリティーオークションを行います。
このイベントには私のストックホルムの友人が協力をしてくれることになっていますので、成功するだろうと思っています。
こうした活動には、ナタリーの存在が大きく関わっています。

彼女が2004年、学生時代に「B.family」(※注)という組織を立ち上げました。
当時私は南アフリカ代表チームの監督を務めていましたが、そのため私たちはAIDSや貧困といった問題があることを目の当たりにしました。
そして、自分達で何かできないかという活動を彼女が続けてきたのですが、今は日本の困難を見て、日本にフォーカスした活動をしていきたいといっています。
※注:ビー・ファミリー、「B.」は「バクスター」(ファミリー)とBeFamily=家族になるという語呂合わせの意味もあります。

今回、私はチャリティーオークションを実施しますが、本当にやりたかったことは、被災地の子供を対象にしたサッカークリニックでした。
先程も言いましたが、こうした時期に最も辛い思いをしているのは子供たちです。
95年当時も、私はサッカークリニックを行いました。
今回も子供たちに笑顔を取り戻してもらうためにもサッカークリニックをやりたかったのですが、残念ながら様々な問題があり見送らざるを得ません。
しかし、近い将来、ぜひ現地でサッカークリニックを開催したいと思っています。
そしてその時には家族全員で来日し、全員でサポートしたいと思っています。
私と私の家族は日本の復興を心から応援し、また信じています。

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