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2026年8月16日

5分でわかる!今節のヴィッセル(明治安田J1第2節 FC東京戦)

「5分でわかる!今節のヴィッセル」は、サッカー未経験者でもプレーや戦術を学びながら目のつけ所を磨ける、5分でサクッと読める新コーナーです。(※『覆面記者の目』とは別のライターが執筆しています)



大迫の2戦連発&武藤の同点弾。ドロー決着も「満足」の勝点1。

ゲームのポイント

・FC東京の縦に速い攻撃をどう抑えるか。
・好調、大迫勇也の2試合連続ゴールは?

試合概要

 ホーム開幕戦を白星で飾りたいヴィッセルだったが、先制したのはFC東京だった。前半35分、右サイドハーフの佐藤恵允がロングカウンターでボールを前線に運び、グラウンダーのクロスを入れる。ボールは逆サイドまで転がり、走り込んだ長倉幹樹が冷静にコースをついた。このゴールでFC東京の勢いは増したが、次のゴールはヴィッセルだった。前半40分、バックパスを受けたFC東京のGKキム スンギュがボール処理にもたつくと、大迫勇也が好機を逃さず。猛ダッシュで詰め寄ると、最後はキム スンギュのキックをスライディングで阻止してゴールネットを揺らした。
 1-1で迎えた後半、再びリードしたのはFC東京だった。69分、室屋成がペナルティエリア内の佐藤恵允にパスを送り、その流れから長倉幹樹がこぼれ球をヘディングで押し込んだ。1点を追うヴィッセルは74分に井出遥也、日髙光揮、小松蓮を投入し、より攻撃的な布陣にシフト。83分にはチャンスメイクが得意な濱﨑健斗を入れて攻勢を強める。そして、90+3分にロングスローの流れから武藤嘉紀が美しいダイレクトシュートでサイドネットを揺らし、ヴィッセルが土壇場で追いついた。
 試合のポイントは、まずFC東京の縦に速い攻撃をどう抑えるかだった。マルセロ ヒアン、佐藤恵允、長倉幹樹を軸にしたカウンターは鋭く、ヴィッセルも多くのチャンスを作られた。35分にはこの3人によるカウンターで先制点を奪われており、課題が残った。
 とはいえ、収穫の方が多かった。一つはエース大迫勇也が前節のアビスパ福岡戦に続き、2試合連続でゴールを決めた点だ。GKキム スンギュのトラップミスでボールが少し流れた瞬間を逃さずに追い込んだ、あの判断の速さはさすがストライカーというべきだろう。取るべき人が取るとチームには勢いが出る。そういう意味では次につながる好材料だ。
 同じ意味で、もう一人のエース武藤嘉紀にゴールが生まれたのも大きい。しかも、敗戦の色合いが濃くなった後半アディショナルタイムの劇的な同点ゴール。本人だけではなく、チームの調子も上がって行きそうなゴールだったと言えるだろう。
 ミヒャエル スキッベ監督は「1-2にされてからの最後の20分間で、より相手にプレッシャーをかけることができた。その結果、2-2に追いつけて満足しています」と振り返っている。ホーム開幕戦での白星は逃したが、何も負けたわけではない。むしろ、前節と同じくヴィッセルの勝負強さを感じる一戦だった。

ピックアッププレー解説

90+3分(ハイライト動画はこちら

 FC東京は開幕戦を1-5で落としたが、退場者を出すまではFC町田ゼルビアに1-1で互角の戦いを演じていた。J1百年構想リーグでも地域リーグラウンド18試合で16失点と堅守を見せており、ヴィッセルはその堅守をどう攻略するかが開幕2連勝のカギだった。
 攻略の糸口は、ジエゴのロングスローだった。前節のアビスパ福岡戦ではロングスローの流れから大迫勇也が決勝ゴールを挙げている。今節のFC東京戦でもジエゴは左サイドだけではなく、右サイドからもロングスローを試みてチャンスを作り出した。特に試合の終盤は、FC東京がサイドラインに逃げる場面が多くロングスローも増えた。結果的に、それが劇的な同点ゴールへとつながった。
 90+3分の同点ゴールの場面。ここでキーとなったのが、キャプテン山川哲史のプレーだった。ジエゴはこの試合中に何度もマテウス トゥーレルへロングスローを投げていた。だが、アビスパ福岡戦ではマテウス トゥーレルを経由して大迫勇也のゴールが生まれており、FC東京はそう簡単に競り合いで勝たせてくれなかった。それもあって、同点ゴールの場面では山川哲史が動いた。ジエゴのロングスローはマテウス トゥーレルに向かっていたが、彼の前で山川哲史がヘディング。後方へ流れたボールを武藤嘉紀がダイレクトでゴールに沈めた。もちろん、武藤嘉紀のゴールはすばらしいが、キープレーという点では山川哲史のヘディングだった。
 山川哲史がマテウス トゥーレルの前に入ったことで、相手DFと自分との間に壁ができた。マテウス トゥーレルという壁だ。
それによって山川哲史はほぼフリーの状態でヘディングができた。この“前に入る動き”が、キープレーだった。
 山川哲史はこの場面についてこう振り返っている。「とにかくポジションをとって、少しでもボールに触って、コースを変えて、味方にボールを届けることを考えていました」
 意図してマテウス トゥーレルの前に入ったわけではないかもしれないが、ゴールへの執念によって生まれたファインプレーだった。



まとめ

 大迫勇也と武藤嘉紀のダブルエースのゴールで勝点1を手にしたヴィッセル。ホーム開幕戦を白星で飾れなかったが、後半アディショナルタイムで同点に追いつくなど勝負強さは光っていた。課題を挙げるなら守備面だろう。次節に向けた修正点は以下の3つだ。

・ボールの奪われ方の改善
アンカーの鍬先祐弥は「チームとしてボールの奪われ方が悪く、相手のカウンターへの対応が難しかった」と振り返った。35分に先制点を許した場面では、相手陣内に押し込んだ中でロングカウンターを受けて対応が遅れた。

・DFラインの背後のケア
今節はDFラインの背後を突かれるシーンが散見された。特にジエゴの攻め上がりでできた背後のスペースを狙われた。佐藤恵允のようなスピードのあるサイドアタッカーがいる場合は、今後も最大限の警戒が必要になる。

・得点パターンを増やす
2試合で3得点、うち2得点はジエゴのロングスローの流れから生まれたもの。セットプレーでゴールを奪えるチームは強いと言われるが、シーズンが進むと対策も練られるため、もっと得点パターンを増やしたい。

キープレーヤー ジエゴ選手

 この試合でのキープレーヤーは、良くも悪くもジエゴだった。FC東京の強みであるカウンター攻撃の旗手は、右サイドハーフの佐藤恵允だ。彼のスピードを活かして、守と攻をひっくり返せるのがFC東京の強み。その佐藤恵允と対峙したのが、左サイドバックのジエゴだった。逆にヴィッセルの攻撃面でのストロングポイントはジエゴの攻め上がり。つまり、2人のマッチアップがカギだった。
 前半35分には佐藤恵允のロングカウンターからチャンスを作られ、最終的には絶妙なクロスで崩されて失点している。その直後の38分過ぎには、センターバックのアレクサンダー ショルツから右サイドバックの室屋成へとつなぎ、そこから縦パスで佐藤恵允にジエゴの背後を突かれてチャンスを作られた。
 逆に、FC東京もジエゴには手を焼いていた。左ウイングの永戸勝也が室屋成を引きつけ、その隙を見てジエゴが攻め上がり、クロスを中央へ供給する。このパターンで何度かチャンスを創出し、FC東京を苦しめた。そして最も手を焼かせたのは、やはりロングスローだ。ハーフウェイラインよりも前なら、ジエゴはロングスローを入れられるからだ。
 ジエゴは試合後にこんな話をしている。「最近のサッカーではロングスローを多用するチームが増え、ヴィッセルにとっても一つの強みだと思う。今後は(ロングスローを)抑えに来るチームもあると思うので、どう対応していくかが大事になるだろう」。
 結果的に、前節のアビスパ福岡戦に続いて、今節もジエゴのロングスローの流れからゴールが生まれた。ただし、FC東京には対策も練られていた。ジエゴのロングスローをチームとしてどう活かすか。次節以降のポイントになりそうだ。