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「5分でわかる!今節のヴィッセル」は、サッカー未経験者でもプレーや戦術を学びながら目のつけ所を磨ける、5分でサクッと読める新コーナーです。(※『覆面記者の目』とは別のライターが執筆しています)
まさかの4失点で首位陥落。小松蓮とジエゴが意地を見せたが「今日は柏が勝者に値した」。
ゲームのポイント
- 予想に反してヴィッセルがボール支配率で上回る展開。
- 簡単なボールロストが目立った。
試合概要
首位攻防戦となった明治安田J1リーグ第9節は2−4で柏レイソルに敗れた。27分に藤尾翔太のゴールで先制されると、後半の53分には山内日向汰に追加点を許してしまう。さらに64分には久保藤次郎にダメ押しの3点目を奪われた。ヴィッセルも81分に小松 蓮のヘディングシュートで1点を返したが、3分後の84分には瀬川祐輔に4点目を決められて再び3点ビハインドに。88分にジエゴが古巣への“恩返し”ゴールを決めたが、ヴィッセルの反撃はここまで。今シーズン2敗目を喫して、首位から陥落した。
予想では、平均ボール支配率でJ1リーグトップの柏がボールを保持し、それをヴィッセルがハイプレスで攻略を試みる展開になると思われていた。柏のリカルド ロドリゲス監督が「試合序盤は我々が期待するようにボールを保持し、相手陣でプレーする時間も長くできていた」と振り返ったように、予想通りの展開となった。その流れの中で、27分に藤尾翔太のゴールが生まれた。だが、じわじわとヴィッセルが自分たちのペースを作り始め、ボールを握る時間が増えていった。
結論を言えば、ヴィッセルがボール支配率で柏を上回った。柏は1試合平均ボール支配率58.5%を誇るチームだが、今節は50%にも届いていない。また、クリア数はヴィッセルの11本に対して、柏は58本と5倍以上。これらの数字を見れば、ヴィッセルが主導権を握った試合だったと言えるかもしれない。
だが、スコアは2−4。ヴィッセルは今季最多失点を喫して敗れた。ミヒャエル スキッベ監督は敗因について「簡単なボールロストがすごく多かった。その結果、相手を乗せてしまった」と話している。象徴的だったのは柏の2点目だろう。戸嶋祥郎にボールを奪取されると、そこから小泉佳穂を経由して前線へ走りこんだ戸嶋祥郎へ。そしてファーサイドへクロスを供給されると、そこへ走り込んだ山内日向汰に合わされて失点した。どちらかと言えば、この形はヴィッセルが狙っていたシチュエーションだったが、柏にお株を奪われてしまった。
これで公式戦の連勝記録は「8」でストップ。だが、落ち込んでいる暇はない。中4日で今度はAFCチャンピオンズリーグエリートの全北現代モータース戦が待っている。反省すべき点は反省し、前へ進むしかない。
ピックアッププレー解説
81分(ハイライト動画はこちら)
今節はヴィッセルの2つのゴールシーンを振り返っておきたい。共通するのはどちらもクロスボールからのヘディングシュートでゴールを奪った点だ。
81分の小松 蓮のゴールはジエゴがシンプルにアーリークロスを入れたことで生まれた。岩本悠庵からパスを受けたジエゴは迷わずにゴール前にクロスを入れている。残り時間や3点ビハインドの状況を考えてすぐにクロスボールを入れたのかもしれないが、結果的にこの判断が功を奏す。柏ディフェンダーは後ろに下がりながらの難しい守備を強いられたからだ。この場面では大迫勇也がゴールの近いサイドに走り込んで相手DFを2枚引きつけている。この動きによって背後にスペースが生まれ、ここに小松 蓮が走り込んだ。空中戦に強い小松 蓮の持ち味をチームとして活かした場面だったと言える。
また、88分にジエゴがヘディングシュートを決めた場面では、飯野七聖の特長であるクロスの精度が活かされた。ジエゴが左サイドからドリブルで中央へカットインしたが、柏ディフェンスに壁を作られてシュートが打てず。ジエゴは一度、右サイドの飯野七聖へパスを出して攻撃をやり直す。そして飯野七聖がすぐにクロスボールをゴール前へと供給すると、それを大迫勇也とジエゴが競り、最終的にジエゴがヘディングシュートでゴールネットを揺らした。
この場面で注目したいのはゴール前に詰めた選手の数だ。大迫勇也、小松 蓮、エリキ、ジェアン パトリッキらアタッカーだけではなく、ジエゴと井手口陽介もしっかりとゴール前に入っている。ヴィッセルの選手は計6人。対する柏は飯野七聖のクロスボールに3人が気を取られ、ゴール前にいたのは5人。ヴィッセルは数的優位な状況を作り出している。飯野七聖のクロスボールの質の高さをヴィッセルの選手たちが信じ、柏の選手たちが警戒した結果だろう。飯野七聖の存在が光った瞬間だった。
ミヒャエル スキッベ監督が就任してから、シンプルにクロスボールを入れる回数は減っている。悪いことではないが、シンプルに入れても決定的な場面を作り出せるのがヴィッセルの強みでもある。賛否両論はあるだろうが、シンプル・イズ・ベストを再認識させられた2つのゴールシーンだった。
まとめ
ヴィッセルがボール支配率で柏を上回ったものの、今シーズン最多の4失点を喫した一戦。それを踏まえて修正点は2つ。
- 割り切った戦い
スペイン人のリカルド ロドリゲス監督は、自分たちがボールを保持するポゼッションスタイルをチームに浸透させている。だが、今節はヴィッセルにややボールを握られる展開となった。その中でボール奪取からの速い攻撃で得点を重ねるなど、試合の流れにうまくアジャストした印象だ。ある意味で割り切った戦いをしたと言える。逆にヴィッセルはどうか。予想外の展開に最後まで順応しきれなかった印象がある。
- よくないボールの奪われ方
ミヒャエル スキッベ監督が振り返ったように今節は「簡単なボールロスト」が目立った。柏のプレッシングを褒めるべきかもしれないが、サイドに追い込まれて相手DFに囲まれたり、サイドチェンジを狙った横パスをインターセプトされたり、いつものヴィッセルらしからぬ奪われ方が見られた。
キープレーヤー

今節はジエゴだろう。柏との初めての古巣戦に挑んだジエゴは試合前の心境をこう話していた。「(柏は)3年もいたチームなので愛情もありますし、(三協フロンテア柏スタジアムでの試合は)個人の気持ちとしてはミックスされた複雑な思いがある。ただ、ヴィッセルのユニホームを着てピッチに入ったら“勝つ”という強い気持ちで戦うだけです」。その言葉通り、自慢のロングスローで柏を苦しめ、献身的な守備でヴィッセルを支えた。そして絶妙なクロスボールで小松 蓮のゴールをアシストし、さらに自らもゴールという結果を残した。古巣を相手に1ゴール・1アシスト。試合結果としては4失点の悔しさが残ったものの、ジエゴ個人としては高いパフォーマンスを見せられた一戦だった。
特に小松 蓮のゴールを引き出したクロスボールは、器用なジエゴらしいプレーだった。J1リーグで猛威をふるっているロングスローが注目されがちなジエゴだが、実はキックの種類が多い選手でもある。ある時は、ゴールバーに当たるか当たらないかの絶妙なループシュートを放ち、ある時は精度の高いロングフィードで陣地を回復する。J1百年構想リーグプレーオフラウンドの鹿島アントラーズ戦(第1戦)では強烈な左足ミドルシュートをゴールに突き刺してもいる。
小松 蓮へのアーリークロスは鋭くカーブをかけながら、大迫勇也を越え、DFの前に走り込んだ小松 蓮にドンピシャで合わせた。ボールの軌道、スピード、高さのどれをとっても文句なしの絶妙なボール。ジエゴらしいアシストだった。
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