ファンパーク

敵陣を切り裂く高速ドリブル、強烈なシュートを武器に
攻撃陣の中で存在感を示し続けるアタッカーは、
今シーズン、並々ならぬ決意を持って戦いに挑んでいる。
「壁にぶつかり、苦しむこともきっとある」が、自分らしく一歩ずつ前へ──。
何ごとにも屈することなく、石津大介はゴールと勝利に向かって走り続ける。

自分が描いているプレーを出せる回数が増えている

―昨年夏に期限付き移籍で加入し、初めてJ1リーグでプレーされました。どんな手応えをつかんだ半年だったのでしょうか? 「自分がどんな選手なのか、チームメイトやファンの皆さんに、できるだけ早く知ってもらうには、結果を出して信頼してもらうのが一番だと思っていましたからね。そこを自分自身に求めた半年でしたが、長所である仕掛けの部分では、多少自分らしさを出せたとはいえ、FWだけにたった1ゴールしか取れなかったのは、まだまだだと感じた部分でした」

―思うようにゴールが取れなかった原因をどう分析しますか? 「自分の好きな形、得意な形にもっていける回数が明らかに少なかったですね。J2クラブに比べると、J1クラブのディフェンス陣は最後のところが本当に堅くて。そう簡単に崩せないからこそ、もう少し駆け引きで相手を上回ることや、そのための工夫が必要だと思っていましたが、ペナルティーエリア付近で焦りが出てしまって、思うようにプレーできないことが多かった。これは、できるだけ早く結果を残して、仲間の信頼をつかみ、チーム内での自分の地位を確立したいという思いが焦りにつながった部分もあったと思います。にもかかわらず、結果をなかなか出せないもんだから、その気持ちがより自分のプレーを硬くさせるという悪循環に陥っていた。また、今になって振り返ると、『ゴール』に固執し過ぎていたのかもしれません」

―と言うのは? 「アビスパ福岡時代は、点も取らなければいけないし、パサーにもならなければいけない、というようにたくさんの役割、仕事があって大変だなと思うことも正直、あったんです。それでも、2013シーズンはリーグ戦で11ゴール9アシストと、福岡が挙げたほとんどのゴールに絡むことができて。それによって自信もつかめたからヴィッセル神戸への移籍も決断できたのですが、いざ神戸に来てみたら、前線の選手のほとんどが『その両方ができて当たり前』という感じでプレーしていましたからね。試合の流れに応じた状況判断の中で、時に自分が犠牲になったり、うまく味方を使いながら得点に絡んでいた。だからこそ、僕ももう少しうまく、ゴールとアシストを使い分けられれば良かったのに、『結果』が欲しいあまり、自然とプレーが『ゴール』に偏り過ぎてしまっていた。ただ、その半年の経験のおかげで、今年は開幕前のトレーニングや練習試合でも、比較的、自分が描いているプレーを出せる回数が増えている。あとはコンディションを維持しながらチャンスを待ちたいと思います」

―昨年の課題を踏まえて、このオフに意識的に取り組んだことなどはあったのでしょうか? 「基本は大きく変えていませんが、とにかく走りました。これは、チームのキャンプがスタートする時にいいパフォーマンスを出せるコンディションでいたいと思っていたから。加えて、1年を通して波がなくプレーできるよう、体力のベースを作っておきたいという考えからです。また母校である福岡大学附属大濠高校にも週に2、3回は顔を出して後輩たちとボールを蹴っていました。その割に、後輩たちに何となく距離を置かれてしまい、大して仲良くなれなかったのが残念だったけど(笑)」

―現時点で、走り込んだ効果は感じていますか? 「そうですね。チームでもシーズン前の一次キャンプは結構走り込みましたが、思っていた以上に体が軽く、走れました。また、シーズンが始まった今もコンディションはすごくいいし、体もキレている。このオフは結婚式を挙げたこともあってバタバタと過ごしていたけど、その合間を縫って、歯を食いしばって走り込んでおいて良かったです(笑)」

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Vol.20[MAY.2015]

ヴィッセルスマイル Vol.20[MAY.2015]
  • 「MONTHLY MAIN CAST」(石津大介選手特集)
  • 「ヴィッセルスマイル」編集長総選挙結果発表!
  • 新連載:「ヴィッセル選手の絵しりとり」チョンウヨン選手
  • 新連載:「VISSEL LAB」渡邉千真選手
  • ヴィッセル戦士と宮本代表のファイティング・スピリット座談会
  • 奥井諒がイケメン店長として乗っ取り!?
    密着レポート(イーザッカマニアストアーズ) など

価格:500円(税込)

「ヴィッセルスマイル」の詳細

石津大介

Profile
石津大介(いしづ・だいすけ)
数多くのJリーガーを輩出する福岡大学を経て、2012年にアビスパ福岡でプロデビュー。キレ味鋭いドリブル突破と高い決定力を武器に攻撃の柱へと成長し、14年夏に神戸へと新天地を求めた。現在は主に試合の流れを変える“切り札”として存在感を示すが、レギュラー奪取、ゴール量産を誓う。
1990年1月15日生まれ、福岡県福岡市出身、173cm/71kg

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