ファンパーク

自身を「アスリート」と表現したとおり、ストイックに努力を重ね、思い描く目標に向かってハードワークを続けるダンクレー。「サポーターが喜ぶ姿を想像し、喜ばせるためにピッチに立つ」。背番号33は、仲間とともに信じる道へ歩みを進める。その先に“喜び”があると信じて。

培ってきた経験をすべて捧げ、仲間とともに高みを目指したい

―加入から約1カ月が過ぎました。日本の生活には慣れましたか? 「ともに戦う仲間も、スタッフもいい人ばかりで、すっかり慣れました。来日前から、いろいろな方に話を聞いて、日本にはとてもいい印象を抱いていたし、大きな期待を持ってヴィッセル神戸に加入しましたが、思っていた以上に素晴らしい時間を過ごせています。ここに来られて本当に良かったです」

―3月2日のJ1リーグ第2節サガン鳥栖戦でデビューを飾りました。完封勝利という理想的な結果で終えた一戦を振り返っていただけますか? 「個人としてもスタイルをしっかり示せたし、チームとしてもポゼッションをしながら自分たちがやりたかった形を随所に出せた試合だったと思います。相手のフェルナンド トーレス選手や金崎夢生選手はとても能力が高く、大きな注意が必要だと思っていましたが、僕を含めて最終ラインの4枚が同じ絵を描きながら、我慢する時はする、隙を見せない、ということを意識して試合を進めることができました。その中で僕自身も仲間とできる限りコミュニケーションを取りながらゼロで終わることに集中していました。ただ、前半のうちにイエローカードをもらっていたので、後半は仲間とも無駄なファウルを減らすことと、ファウルをしなければいけないようなシチュエーションに陥らないようポジショニングに気をつけようと確認していました」

―その鳥栖戦を含めて、ここまで3試合を戦ったJ1リーグの印象を聞かせてください。 「守備に対する姿勢やインテンシティーは、僕がヨーロッパで経験したサッカーと比べても大差がないくらいハードだし、ともすればもっとタイトにも感じました。また印象に残ったのは、チームごとにタクティクスが明確で、狙いを持ってサッカーをしているチームが多いリーグだということです。この中でプレーすることで、僕の『サッカー』に、いろいろな要素がプラスされていくはずだし、それによってさらなる成長を求めたいとも思います。また、外国籍選手としてプレーしている以上、『違い』を見せなければいけないという責任も感じています」

―16年にヨーロッパに渡り、ポルトガルやフランスでキャリアを積んできました。『海外移籍』がご自身に与える影響をどのように考えますか? 「ヨーロッパはすべてのサッカー選手が憧れる舞台です。ブラジル人選手の多くがヨーロッパで世界の規律、戦術を学び、インテンシティーを身につけたいと考えていますし、僕もそれは目的の一つでした。実際、僕はフランスとポルトガルでプレーしましたが、この2つの国からは自分のスタイルを構築する上でもとても大きな影響を受けたと感じています。また海外の文化を学ぶことは、人としての幅を広げ、人生を豊かにし、成長することにもつながります。そのことを実感した上で、日本でのキャリアをスタートできたのは良かったし、日本でもまた多くを学び、人としてもサッカー選手としても成長したいと思っています」

―サッカー王国ブラジルで育ち、ヨーロッパでのプレーを経験した後、アジア、日本に来ることをキャリアダウンとは考えませんでしたか? 「そうは思いませんでした。日本は国としても、リーグとしても非常に高いレベルを備えています。施設やハード面も恵まれていますし、質の高い選手も多い。僕はこれまでブラジル、ヨーロッパでサッカーをしてきましたが、日本はそれらの国にも劣らない内容のサッカーをしていると感じています。競争力もあり、技術的、戦術的にも、規律や選手のプロフェッショナルな姿勢も素晴らしく、ここでプレーすることはサッカー選手としてステップアップになると思っています」

―ヴィッセルへの加入に際しては、クラブを取り巻く環境面や「クラブが描く将来像」が決め手になったと話されていました。もう少し具体的に教えていただけますか? 「かつて、ネイマールにFCバルセロナからパリ・サンジェルマンへの移籍話が持ち上がった際、いろいろな物議を醸しました。でも彼はパリ・サンジェルマンの志、目標、狙っているタイトルを聞き、『それを実現するアーティストは君だ』と伝えられ、その言葉に大きく揺さぶられた。それを実現すれば選手としての価値を高めることができ、歴史にも名を刻める、と。それと同じで、僕自身もヴィッセルが示すビジョン、志に共感を覚えました。しかもそれを実現するために、世界的名手であるアンドレス イニエスタを獲得するなど、『本物』の選手を集め、揺らがぬ意思でアジアナンバーワン、タイトルという目標に向かって進んでいる。その実現のために必要だと声を掛けていただいたことをすごく光栄に感じたし、ヴィッセルの一員としてクラブ初の『タイトル』を獲得する日を想像して、心が動きました」

―実際にJ1リーグを戦ってみて「アジアナンバーワンクラブ」の可能性をどのように感じていますか? 「外国籍選手に限らず、日本人選手、スタッフ、またクラブに在籍する全員が『アジアナンバーワン』への野心を持っていて、そういう集団が一つになって戦えば、必ずその可能性は高くなると信じています。もっとも今はまだチャレンジが始まったばかりで、道の途中にいるのは事実です。もっともっと、チーム力、個人の質、ゲームのクオリティーを高めていかなければいけません。ですが、我々が今、取り組んでいることを、それを信じる仲間とともに続けていくことができれば、ゆくゆくは日本を代表するチームとなり、アジアチャンピオンにたどり着くはずです。そのために僕自身も培ってきた経験のすべてを捧げ、仲間と高みを目指したいと思います」

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つづきは、オフィシャル月刊誌「ヴィッセルスマイル」Vol.56[MAY.2019]でお読みください。

ヴィッセルスマイル Vol.56 [MAY.2019]
  • 『Vスマ』編集会議!/大﨑玲央選手×前川黛也選手×渡部博文選手
  • VISSEL SMILE SPECIAL ISSUE/ダンクレー選手
  • ヴィッセル神戸×アンリ・シャルパンティエ特別座談会/西大伍選手&渡部博文選手
  • VISSEL LAB/三田啓貴選手
  • 秘蔵PHOTO COLLECTION/初瀬亮選手
  • ダイヤの“裏”いぶき日記/前川黛也選手
  • コーチングスタッフインタビュー/マルコス ビベスアシスタントコーチ など

価格:500円(税込)

「ヴィッセルスマイル」の詳細

ダンクレー

Profile
ダンクレー
2019シーズン開幕後にヴィッセルの一員となった大型センターバック。フランスやポルトガルでのプレー経験があり、世界基準のアタッカーと幾度となく対戦してきた。屈強な肉体を生かした守備に加え、攻撃のスイッチを入れるパスが持ち味。「ハードワーク」を信条に、攻守両面でチームを支える。
1992年1月24日生まれ、ブラジル バイーア州出身、187cm/80kg

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