パートナー

明るい未来に向かって、これからも共に
取材・文=山本剛央 写真=吉田孝光

神戸学院大学とヴィッセル神戸。長年、パートナー関係を結ぶ両者のトップ対談が実現しました。教育とスポーツの垣根を越えて、互いに手を取り合いながら地域貢献活動を推進している両者が、新型コロナウイルスへの対応や愛する神戸のこと、そしてパートナーシップの意義などについて、大いに語り合いました。

試行錯誤の中でのコロナ対応策

──昨年来の新型コロナウイルスの影響で、Jリーグクラブ、大学それぞれの現場で様々な影響があったと思います。どのような対応や工夫をされてきたのでしょうか?

佐藤雅美学長(以下佐藤)
本来、大学はキャンパスに来て学生同士や教職員たちと幅広い交流を深める場所です。単に学問を学ぶだけでなく、部活動やボランティア活動などを通じて貴重な経験が得られるところにも大学としての存在価値があります。ところが、新型コロナウイルスの影響でそれらがすべてできなくなり、昨年以降はオンライン中心の授業などに切り替わりました。授業も会議も課外活動などもオンラインで行うようになったわけですが、逆に対面、つまり顔を合わせる大切さを改めて感じたり、新たな気づきにも触れることができました。本学においては試行錯誤を繰り返しながら少しでも前に進んでいけるよう、現在も様々な取り組みを行っています。

徳山大樹社長(以下徳山)
サッカー界も全く同じです。昨シーズン以降、無観客試合が続き、ご来場いただいても観客数が制限され、歓声をあげられないなど、刻々と状況が変化する中で厳しい規制は現在も続いています。ただ、改めてスポーツの魅力をどのように共有し伝えていくのか、原点に立ち返って考える機会にもなりました。様々な制約がある中、SNSやYoutubeチャンネルにこれまで以上に注力し、選手の素顔や生の声を伝えたり、練習風景の更新頻度を多くしたり、ピッチ内外での魅力が伝えられるようなコンテンツを増やし発信しています。また、オンライン上で選手とファンが対面できるような特別なパッケージをご用意したり、今までにない試みにもチャレンジしています。

佐藤
様々な工夫を凝らし、ファンに向けて発信し続けることは、大きな意味があることだと思います。

徳山
Jリーグクラブとして、地元神戸の皆様に希望を与えられるような存在にならなければと常に考えています。

佐藤
阪神・淡路大震災のあった1995年、プロ野球で地元のオリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)がパ・リーグ優勝に輝いたことは地域の人たちに大きな勇気を与えました。私自身、強烈な記憶として今でも脳裏に焼きついています。辛く厳しい時こそ、みんなで語り合えるような明るい話題は日々の生活を前に進めていく上でとても重要ですし、ヴィッセル神戸の取り組みは素晴らしいと感じますね。

徳山
ありがとうございます。ヴィッセル神戸の頑張る姿が多くの人の助けになると信じ、気持ちの込もったプレーや働きを見せていこうと常日頃から選手やクラブスタッフとも話し合っています。

佐藤
本学のグローバル・コミュニケーション学部ではカリキュラムに組み込まれていた海外留学が完全にストップしてしまいました。全学の留学プログラムも実施できなくなり、何とか工夫を施し、留学できない本学生や日本に来られない海外の学生に対する支援策として『神戸学院大グローバルセミナー2020』をオンラインで開講しました。最終的に中国、フランス、ロシア、韓国、台湾、ウクライナ、ウズベキスタン、日本の8カ国・地域の学生が参加し新たな国際交流の場を創出することができたのですが、マイナスをプラスに変えていく発想の転換は、どんな分野においても必要だと痛感しました。

徳山
本当にそうですよね。Jリーグも以前の状態に戻るには時間がかかると思いますが、何の制限もなくスタジアムに行けるようになった時、ヴィッセル神戸を応援したいと思っていただけるようなきっかけを今のうちにどれだけ作っておくかが重要だと考えています。我々もマイナスをプラスに変えられるような取り組みを続けていきたいと思います。

佐藤
大学での学びは教室内にとどまりません。私は『プラス・アルファ・チャレンジ』という言い方をしていますが、意欲を持った学生が自分の個性に合わせていろいろなチャレンジができる、多種多様なきっかけの場を提供していくことも大学の使命だと考えています。

必要不可欠な地域貢献活動

──両者共通の大きなテーマ、『地域とのつながり』については、どのように考えておられますか?

佐藤
神戸学院大学は1966年(昭和41年)、神戸市西区に創立されましたが、学校法人神戸学院の起源は1912年(明治45年)に遡り、神戸を拠点に百年以上にわたって教育に取り組んできました。ですから、附属の中学、高校を含め、神戸学院としては地域の一員として周りから必要とされなければならない存在ですし、地域に貢献することも教育機関の重要な役割だと考えています。

徳山
ヴィッセル神戸は1995年に誕生したのですが、そのチーム練習初日に阪神・淡路大震災という未曾有の災害が発生しました。あの日以来、我々がクラブとして大事にしているのが一致団結という言葉です。神戸の皆さんとともに一致団結して困難を乗り越えていくというアイデンティティーは今も脈々とクラブに受け継がれています。

佐藤
地域貢献の事例として、本学の現代社会学部では幾つかのゼミが共同で兵庫県の過疎地を活性化させるための活動を展開し、その研究成果を行政に提案するといった取り組みを行っています。また、『大学都市KOBE!発信プロジェクト』に参画したり、神戸マラソンにも救護ボランティアやグループボランティアなど多くの学生が協力して大会の盛り上げに一役買うなど、地域のイベントにも積極的にかかわり、大学の存在価値を高めていく努力を学生と一体となって行っています。

徳山
我々も地域との連携をとても大事にしています。例えば『GOAL for SMILE プロジェクト』はヴィッセルの公式戦での1ゴールにつき、サッカーボール4球を神戸市立の小学校に寄贈するもので、2010年にスタートしてから現在も継続しており、実際に選手たちが小学校を訪問してボールを届けています。ホームタウン活動の一環として実施している『夢で逢えたら』という学校訪問授業は、以前在籍していた三浦知良選手(現横浜FC)が2003年に夢について語る授業を始めたことがきっかけとなり、現在でもヴィッセルの選手が小学校を訪れ、夢の大切さを伝えています。また、神戸市スポーツ協会や神戸市と協力し、市内の小学校や特別支援学校に入学する新小学1年生を対象に、選手からの入学メッセージやレッスンバッグ、ユニフォーム型折り紙をプレゼントするなど、子どもたちに夢を与えられるような地域貢献活動を行っています。

パートナーシップがもたらす意義

──ヴィッセル神戸と神戸学院大学はパートナーシップを締結し、長年、相互協力を行っています。パートナーシップの効果や意義をどのように感じておられますか?

佐藤
ヴィッセル神戸のアカデミー所属の選手たちには、本学の附属高校で学んでいただいていますが、同じ神戸を拠点とする本学とヴィッセル神戸がパートナーシップを結ぶことで、地域との結びつきがより強くなっていると感じています。

徳山
我々はアカデミーを通じて選手育成に取り組んでいますが、ユース年代の重要な課題でもある人間育成や学業との両立について、御校の熱心なサポートをいただており、本当に感謝しております。

佐藤
本学では、プロスポーツの最前線で活躍されているクラブスタッフによる特別講義などを行っていただいていますが、スポットライトを浴びる競技者の陰には、彼らを支えるスタッフが大勢いることや、様々な事業にともに取り組むことで学生たちもプロスポーツの現場から多くの実務を学んでおり、パートナーシップがもたらす意義は本当に大きなものだと感じています。

徳山
ありがとうございます。我々もインターンシップを通じて、御校の学生さんたちにスポーツビジネスの仕組みなどを体験していただいていますが、逆に学生さんならではのアイデアや視点を運営に役立てる貴重な機会になっています。

佐藤
これからもこのパートナーシップを通じ、両者が一緒になって神戸を盛り上げるために様々なアクションを起こしていきたいと考えています。

 

手を携えた先にある未来像

──将来については、それぞれどのような考えをお持ちですか?

佐藤
ヴィッセル神戸は創設以来、紆余曲折を経て、現在はJリーグで確固たる地位を築いていますが、おそらくはアンドレス イニエスタ選手を筆頭に世界的な選手を招聘された時期に、クラブとして大きなギアチェンジを図られたと感じています。神戸はもとより、日本国内や世界中のサッカーファンの耳目を集めるクラブへとステップアップされました。本学も2007年に神戸市中央区にポートアイランドキャンパスを開設するという大きな決断をし、新たなキャンパスに乗り出したことが大学としての活動の幅を広げる大きなきっかけになりました。従来のキャンパスだけでは実現できなかったようなコラボが生まれ、自治体や企業との連携も取りやすくなったのです。我々も大きくギアチェンジをしたことで、兵庫県、神戸市を代表する大学の一つになっていけるだけの基盤を築くことができたのではないかと考えています。外から神戸を見たとき、Jクラブと一緒になっていろいろな取り組みを行っている魅力のある大学だなと思っていただけるように、そしてそんな希望と意欲に満ちた若者がどんどんと集まってきてくれるような、地域活性化により貢献する大学として役割を果たしていきたいと考えております。

徳山
我々はアジアナンバーワンクラブを目指しています。競技面においてはAFCチャンピオンズリーグで優勝することを大きな目標に掲げていますが、本当にアジアナンバーワンになるためには神戸の皆さんに愛されるクラブでなければなりません。愛されるためには神戸市民の声にしっかりと耳を傾け、お子様や若者から年配の方まですべての年代の方々にしっかりと寄り添った運営をしながら、サッカークラブとしてアジアで一番と言われるような最高の体験を提供できるようにしていきたいと考えています。5年、10年と長い歳月をかけながら、本当の意味でのアジアナンバーワンクラブを目指していきます。

佐藤
2020年元日に天皇杯で初優勝したとき、ヴィッセル神戸に対する地域の人たちの意識が大きく変わったように感じました。近い将来、アジアナンバーワンになれば、国際都市神戸のブランドをより高めることにもつながると思います。そんな誇り高きクラブとパートナーシップを結んでいることは我が大学にはとても大きな励みですし、学生、教職員のプライドにもつながります。今後の活躍を期待するとともに、これからも熱くサポートしていきたいと思います。

徳山
ヴィッセル神戸には多くの世界的な選手に加入していただきましたが、先ほど学長がおっしゃられたように2018年、イニエスタ選手が加わったインパクトは計り知れないものがありました。イエニスタ選手自身も本当に神戸という街を愛していただいています。

佐藤
それは本当にすごく大きいと思います。イエニスタ選手自身の言葉の端々からも神戸に対する愛情が本当によく伝わってきますから。その影響力は絶大です。

徳山
イニエスタ選手に限らず、多くの外国籍選手、そして日本人選手たちがヴィッセル神戸、そして神戸の人々のために汗を流し、戦ってくれています。これからも御校のお力添えをいただきながら、Jリーグクラブとしてこの街の魅力を発信し、神戸学院大学とのパートナーシップ活動を意義深く進めていければと思っています。本日は誠にありがとうございました。

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