マッチデープログラム

POINT of VIEW | 試合の見どころ

8年ぶりにV・ファーレン長崎と対戦。元ヴィッセル神戸キャプテンの山口蛍が初の凱旋へ
 明治安田Jリーグは今年8月から翌年5月までの秋春制へと移行する。それに伴って開催されている特別リーグが「明治安田J1百年構想リーグ(J1百年構想リーグ)」だ。優勝チームにはアジア最強クラブを争う「AFCチャンピオンズリーグ(ACLE)」の来シーズン出場権が与えられる。タイトル奪還とアジアの挑戦権を狙うヴィッセル神戸は、J1百年構想リーグ開幕戦で京都サンガF.C.に勝利して好発進。第2節は8年ぶりにJ1リーグに復帰したV・ファーレン長崎をホームに迎える。ヴィッセル神戸前キャプテンMF山口蛍が所属し、オフに大型補強を敢行した「J1仕様」のV・ファーレン長崎から白星を挙げられるか。

 V・ファーレン長崎は昨シーズンのJ2リーグを2位で終え、2018年以来となるJ1リーグの切符を手にした。久しぶりのトップリーグ挑戦に向け、今オフには浦和レッズからFWチアゴ サンタナ、アビスパ福岡からMF岩崎悠人、アルビレックス新潟からMF長谷川元希などJ1リーグで実績を残している即戦力を補強。さらにデンマークのラナースFCからスピードのあるFWノーマン キャンベルも迎え、しっかりとJ1リーグ仕様にバージョンアップして今シーズンを迎えた。
 J1百年構想リーグの開幕戦ではサンフレッチェ広島に1−3で敗れたものの、3点ビハインドから一矢を報いたゴールは次につながる好材料と言えるだろう。

 一方のヴィッセル神戸は京都サンガF.C.とのJ1百年構想リーグ開幕戦をPK戦の末に勝利した。試合は序盤からフィジカル的な強度が高く、また攻守の切り替えが速い展開となった。その中で前半37分にFW大迫勇也のスルーパスでFW武藤嘉紀が抜け出し、最後は右足で鮮やかにゴールネットを揺らした。だが、ホームで負けられない京都サンガF.C.に苦戦。後半から攻撃のギアを上げられ、53分にはFWマルコ トゥーリオに対ヴィッセル神戸5試合連続となるゴールを決められた。スコアはそのまま動かず、J1百年構想リーグのレギュレーションに伴いPK戦に突入した。ここで輝きを見せたのがヴィッセル神戸の守護神・GK前川黛也だった。2人のシュートを阻止する活躍で勝利に大きく貢献。ミヒャエル スキッベ監督の初陣に花を添えた。
 また、4日後のACLE第7節のFCソウル戦では武藤嘉紀とDF酒井高徳のゴールで2−0の完勝。今節のV・ファーレン長崎戦は公式戦2連勝の勢いをもって挑む。日程的にはACLEから中2日と過密だが、選手たちの心身は充実していると予想される。

 V・ファーレン長崎との対戦は2018年10月のJ1リーグ第29節以来となる。当時のヴィッセル神戸はボール保持を軸にしたポゼッションスタイルを志向し、そのカリスマ的な指導者として知られるスペイン人のフアン マヌエル リージョ監督がチームを率いていた。J1リーグ第29節のV・ファーレン長崎戦は彼の初陣。結果は1−1のドロー決着だった。
 J1リーグでの対戦成績は1勝1分けでヴィッセル神戸の白星が先行している。2013年のJ2リーグではヴィッセル神戸が2勝、さらに2018年のJリーグYBCルヴァンカップでは1勝1分けでV・ファーレン長崎にまだ敗れたことはない。相性は良いが、最後の対戦が8年前では今節の参考にはならないだろう。

 今節の見どころの一つは、中盤の守備になるだろう。前節を参考にするとV・ファーレン長崎の予想フォーメーションはディフェンス3枚の前に攻守の要となるボランチ1枚(アンカー)を置く[3−1−4−2]。アンカーを務めるのが元ヴィッセル神戸の山口蛍で、昨シーズンのJ2リーグでは相手のパスをカットするインターセプト数でリーグトップの本数を記録している。ヴィッセル神戸としては自陣のゴールに近い位置でボールを奪われるとピンチを招くため、山口蛍に良い位置で仕事をさせないことがテーマになりそうだ。

 一方のヴィッセル神戸もアンカーのMF扇原貴宏が昨シーズンのJ1リーグトップのインターセプト総数をマークしている。山口蛍とのアンカー対決は注目だったが、直近のACLE第7節・FCソウル戦で扇原貴宏が負傷。今節の出場は難しいと予想される。
 代わりに先発を務めそうなのが成長株のMF鍬先祐弥だ。FCソウル戦では扇原貴宏と交代でピッチに入り、持ち前の運動量を活かしてチームの勝利に貢献。今節のV・ファーレン長崎戦は古巣戦というだけではなく、選手としてお手本にしていた山口蛍との初対戦。扇原貴宏の負傷は残念だが、山口蛍と鍬先祐弥のせめぎあいもかなり見応えがありそうだ。

 だが、ホームで勝点3を得るにはゴールが不可欠となる。そういう意味ではやはり武藤嘉紀が今節の注目選手になるだろう。京都サンガF.C.とのJ1百年構想リーグ開幕戦に続き、直近のACLE第7節でもゴールを挙げているヴィッセル神戸のゴールハンター。「昨年は何もできず悔しかった。歳を重ねて『弱くなった』と思われないように結果を出していかないといけない」という強い想いを胸に、公式戦3戦連発を狙う。

text by 白井 邦彦


試合前監督コメント
ミヒャエルスキッベ監督
ミヒャエルスキッベ監督 -明日の試合に向けて
明日は、昇格してきたチームとの対戦を、非常に楽しみにしています。前線に、外国籍の能力の高い選手がいるので、自分たちのゴールからなるべく遠ざけるように注意したいです。私たちは、短い期間で多くの試合があり、FCソウルとの試合後は、休養を最優先にしながらも練習をしてきました。なので明日の試合に関しては、第1戦、第2戦のようにフレッシュな気持ちで試合に向かっていってもらいたいと思っています。
監督質疑応答
-長崎戦のポイントはどのように感じていますか
長崎と第1節で対戦した広島が、奪った後に相手の裏をすぐに突けていたのは良い点だと感じているので、そのような場面を作りたいと考えています。私たちの最初の2試合を見ていただけたらわかると思いますが、ボールを取った直後に相手が整っていない状況で、前に素早く攻めることに重点を置いて練習しているので、そういう切り替えの場面を明日の試合でも出したいです。それと合わせて、相手はできるだけ自分たちのゴールから遠ざけるようにして、明日の試合には向かいたいです。

-中2日での試合ですがメンバー選考はどのように考えていますか
もちろん何人かの選手を代える必要があると思っています。GKは代わる予定ですし、センターバックも含めて変わる可能性があると思います。もちろん誰が出るにしても、ホームのファンの皆さんのために良い試合をしたいです。

試合前選手コメント
鍬先祐弥選手
鍬先祐弥選手 -明日の試合に向けての意気込み
前節京都戦ではPK勝ちでしたが、 90分では引き分けという結果だったので、 今節はしっかり90分で決着をつけて勝ち切りたいです。

-古巣・長崎とJ1の舞台での対戦ということで心境はいかがですか
個人としては初の古巣対戦でやっぱり気合いは入ります。何より負けたくない気持ちが強いので、しっかりヴィッセルの選手として自分の特徴を出して、アグレッシブにプレーしたいです。

-スキッベ監督が就任されてご自身の役割として意識を強めたのはどういったところですか
ある程度自由度を求められている中で、まずは自分の特徴を出すことを意識していますし、攻撃にもどんどん絡んでいくことは意識しています。試合数を重ねていけば、そこもより良くなっていくと思いながらやっています。