3.11
3月11日。
この日付は、多くの日本人にとって忘れることができないものとなっている。この日発生した東日本大震災によって2万人を超える人々が犠牲になった。あれから15年がたった今もなお、その痛みは我々の心に深く刻み込まれている。筆者も震災後、複数の被災地を訪れたのだが、そこで目にしたのは強大な自然の力の痕跡だった。その凄まじさに言葉を失ったことを、今でも鮮明に記憶している。
31年前の阪神淡路大震災で被災した経験を持つヴィッセルのこの日見せた姿が、全ての被災地の人たちにとって明るい未来を暗示するものであることを祈る。
改めて亡くなられた方々と、ご遺族に心から哀悼の誠をささげるとともに、被災された皆さまにお見舞いを申し上げます。
アジアの戦い
「THE No.1 CLUB in ASIA ~ 一致団結 ~」。これは2026年のヴィッセルのスローガンだ。昨年からの継続でもあるこの言葉にはアジアの頂点を目指すという、クラブとしての強い意志が込められている。そんなヴィッセルにとって、アジア各国の強豪チームが集うAFCチャンピオンズリーグエリート(以下ACLE)は、特別な意味を持った大会だ。
アジアの頂点を決める大会の歴史は古い。1967年に第1回アジアチャンピオンクラブズトーナメントが開催されたことをきっかけに、アジアクラブ選手権、そしてアジアカップウィナーズカップ、アジアスーパーカップなど複数の大会が行われるようになった。そして2002年にこうした大会を発展的に解消させ、AFCチャンピオンズリーグとして整備された。その後、開催時期の変更など様々な変遷を経て、2024/25大会から現在の形に整備された。現在では優勝チームにはFIFAクラブワールドカップへの出場権が与えられることもあり、大会の価値は回を重ねるごとに高まっている。ACLEは文字通り「世界とつながっている」大会であり、その意味において世界基準を意識したクラブ作りを進めてきたヴィッセルがこの大会を特別視することは、ごく自然なこととも言える。
そんなアジアでの戦いだが、そこには独特な難しさがある。多くの試合が初見の相手との対戦であるだけではなく、外国人審判が見せる判定基準や国によって異なる試合運営、ピッチの状態など、そこには様々な要因が存在している。それらの事態に対応するためには選手の力だけではなく、クラブスタッフの対応力も必要となる。ACLEがクラブの総合力を問われる大会と言われるゆえんだ。過去、ヴィッセルもそれに苦しめられてきた。初出場となったAFCチャンピオンズリーグ2020では、準決勝において不可解な判定によってゴールが取り消され、前回大会では「出場クラブの撤退」という異常事態に巻き込まれ、勝点が減少した。これらは苦い思い出ではあるが、クラブと選手をタフにしたことも事実だ。この日の苦しい展開の中でも耐え、最後に勝利をもぎ取った背景には、こうしたクラブが積み重ねてきた経験がある。
ヴィッセル対策
FCソウルとの対戦は3度目。それが約1カ月の間に集中したことが、この日の試合に影響を及ぼしていたように思う。過去2回の対戦を経て、FCソウルを率いるキム ギドン監督はより緻密なヴィッセル対策を立てて、この日の試合に臨んでいた。それは一言でいうと「プレス回避と戦場の拡散」だったように思う。2度目の対戦が1週間前だったこともあり、FCソウルの選手たちは、ヴィッセルの選手のスピードや強度を肌感覚として記憶していた。それがベースにあるため、キム監督が見せた「ヴィッセル対策」が嵌っていたように思う。
ヴィッセルの戦いにおける基本は11人でボールを奪いにいく点にある。ヴィッセルの守備というと、球際での強さやプレスのスピードが注目されるため、個人の能力でボールを奪っているように解釈されることがある。しかしその戦い方を見ていくと、実は11人でボールを奪うことが目的であり、球際での強さや素早いプレスは手段でしかないことが判る。相手選手(ボールホルダー)の選択肢を狭め、それを連動させることによってボールを奪っていく。これが基本として徹底されているため、ヴィッセルの守備が嵌ると、最終的にボール周辺での数的優位を作り出すことができるのだ。
こうしたヴィッセルの戦い方を理解した上で、キム監督はプレス回避のためにバックパスを巧く使っていた。そこでのキーマンはアンカーに入っていたフルヴォイェ バベツだった。最終ライン近くでFCソウルがボールを持った際、このバベツが最終ラインの背後にまわる場面が何度も見られた。そしてヴィッセルの前線がボールホルダーに寄せようと動き出した段階で、バベツがボールを引き取り、そこから前方に展開していった。クロアチア出身のバベツは逆足も使える選手であり、そのキックには安定感があった。そのバベツが中盤の選手に対して正確に配球することで、ヴィッセルのプレスを空転させた。またバベツが下がれない場面でも、この構造は基本的に維持されていた。キム監督によるヴィッセルのプレス回避策は、最終ラインの背後に立った選手が配球役となることだったのではないだろうか。前記したようにヴィッセルの守備は、前線からの連動した動きの中で相手を追い込んでいく点にある。そのスタートである前線のプレスが機能しない場合には、基本的な守り方を変える必要が生じるのだ。
そしてもう1つの策である戦場の拡散だが、これはサイドにボールを広げることで、ヴィッセルの守備の密度を下げることが目的だったように思われる。ここで厄介だったのは、右サイドハーフに入っていたチョン スンウォンだった。チョンはボールを収める能力に長けており、ここで時間を作り出すと同時に、対面する左サイドバックの永戸勝也を引き出していった。ヴィッセルにとって厄介なのは、大きくサイドに展開された時だ。繰り返し書いているように、全体が連動しながら相手を網にとらえる守り方であるため、一気にサイドに展開された場合、全体が動きなおしを余儀なくされる。この試合においてはバベツからチョンというパスコースが、ヴィッセルの守備を空転させるための切り札となっていた。永戸もこれを察知して、チョンのポジションを見ながら立ち位置を定めていたのだが、チョンが上下動しながらボールを収めていくため、つかまえきれていなかった。
キム監督がヴィッセルの左サイドに狙いを定めていた理由は2つあったと思う。1つは永戸を押し留め、前線に立つ佐々木大樹との関係を遮断することだ。そしてもう1つはマテウス トゥーレルを引っ張り出すことだったのではないだろうか。永戸の裏を取ることができれば、そこには左センターバックであるトゥーレルが出てくる。これによってヴィッセルのゴール前を空けることが狙いだったように思える。多くの場面でトゥーレルはワントップに入っていたパトリク クリマラの侵入を防いでいたが、失点もこの形からだった。20分にセンターサークル内でボールを受けたバベツが中央を下がってきたクリマラに当て、クリマラはこれをワンタッチでチョンに渡した。チョンに対して左ウイングの佐々木が背後からプレッシャーをかけたが、チョンは縦に仕掛け、前に立っていた永戸を抜いた。ここにトゥーレルが寄せたが、チョンはスライディングでトゥーレルを倒すようにかわし、ペナルティエリア外からクロスを入れた。このボールに中央で構えていたクリマラは頭を当てようとしたが、これはヒットせず逆サイドに流れた。しかしこれを拾ったソン ミンギュが入れ直し、これをゴール前に残っていたクリマラに頭で押し込まれてしまった。この場面ではゴール前には右センターバックの山川哲史や右サイドバックの広瀬陸斗が戻っていたが、GKの前川黛也が飛び出していたこともあり、肝心のクリマラへのマークはついていなかった。

慣れと自信
多くの選手が試合後に言及しているが、前半はヴィッセルが思うように試合をコントロールできなかったことは事実だ。その理由は前段で書いたキム監督の「ヴィッセル対策」が嵌ったためだとは思うが、FCソウルがそれを遂行できたのは、前の試合で手にした自信とヴィッセルへの慣れがあったためだと思う。2度目の対戦となった1st legの試合後、キム監督は「『次は勝てる』という自信を手にした選手もいると思います」とコメントした。試合は1-0でヴィッセルが勝利したとはいえ、ヴィッセルはいつものような攻撃を作り出すことができなかった。逆にFCソウルにとってはPKを決めてさえいれば負けなかったという思いが残った試合であり、それがヴィッセルに対する自信となっていたのだろう。加えて言えば、ヴィッセルのスターティングメンバーが1st legと同じだったことも、その思いに拍車をかけていたように思う。
また1週間前の経験は、守備においても活きていたように見えた。1st legでFCソウルを苦しめた濱﨑健斗に対しては、その自由を奪うように立ち、濱﨑のポジションを下げるように動いていた。警戒されていたこともあり、この日の試合で濱﨑が自由にボールを持つ場面は少なく、1st legのような効果は発揮できなかった。
またFCソウルにとっては、この日の審判団が見せた基準も戦いやすさを感じた一因となっていたように思う。この試合を運営したのはオーストラリアの審判団だったが、概ね接触に対しては寛容な姿勢を見せていた。試合後にミヒャエル スキッベ監督が言及したように、FCソウルはフィジカルの強さを活かしたチームだった。決してダーティーという意味ではないが、当たりは厳しく、ヴィッセルの選手にとって戦い難い相手だったことは間違いないだろう。
この判定基準はヴィッセルにも影響を及ぼした。22分にトゥーレルが異議によってイエローカードを受けたのだ。この直前のプレーでトゥーレルと競り合ったクリマラのプレーはファウルと判定されたが、失点シーンでもトゥーレルはチョンにスライディングで倒される格好になっていたこともあり、接触に対する判定基準が緩すぎると感じていたのではないだろうか。トゥーレルの気持ちは十分に理解できるが、ここは怒りを抑えてほしかったというのが本音だ。不動のセンターバックであり、ゴール前の守備における軸ともいうべきトゥーレルには、長い時間ピッチに立ち続けてもらいたいと思っているからだ。
これはヴィッセルでGM補佐を務めていた佐藤英男氏(故人)から聞いた話だが、かつてブラジル代表としても活躍したカレカは、判定に不満がある時にはスパイクの紐を結び直すふりをしながら、地面に向けて怒りをぶちまけていたという。これが良い方法というわけではないが、何らかの形で怒りを抑えることは、試合に勝利するための要素だ。
この先もACLEでは普段接することのない審判団が試合を運営する可能性は高い。それだけに判定基準に反応するのではなく、適応する冷静さが選手には求められる。
守護神
ヴィッセルが主導権を握り返す過程において、見逃すことのできないプレーがあった。それは67分に前川が見せたファインセーブだ。この直前、チョンに代わって投入されたアンデルソン オリヴェイラがヴィッセルの左サイドを駆け上がったことに端を発するプレーの中で、2列目に入っていたチョ ヨンウクがペナルティエリア外からのクロスに飛び込み、ゴールエリア手前からヘディングシュートを放った。これがゴール左に跳んだのだが、前川は大きく横に跳び、これを指先で弾き出した。チョのシュートは枠を捉えており、これが決まっていたらアグリゲートでFCソウルが前に出ていたことを思えば、この前川のスーパーセーブはチームを救ったと言えるだろう。前川はこれより前の52分にも、左サイドバックのキム ジンスが放った強烈なミドルシュートをセーブするなど、集中したプレーでゴールを守り続けた。1st legで見せたPKストップを含め、ファイナルズ進出に大きく貢献した前川だが、そのプレーでチームに勇気を与え、逆転に導いたという点において守護神の名に相応しい活躍を見せた。
エースの貫禄
前半の得点によってアグリゲートで並んだFCソウルだが、その優位性は1人の選手によって破壊された。スキッベ監督はハーフタイムに2人の選手交代を行った。前線の中央に入っていた小松蓮に代わって大迫勇也、濱﨑に代わってジエゴをそれぞれ投入した。ジエゴは左ウイングに入り、これに伴い佐々木大樹がインサイドハーフにポジションを変えた。
大迫が見せたプレーは圧巻だった。後ろからのボールをしっかりと収め、それを確実に味方につなぐプレーで、ヴィッセルに勢いを取り戻した。前半はFCソウルが試合の主導権を握っていたことは確かだが、時折見せるロングボールを嫌がっている様子はうかがえた。その理由は前記したFCソウルの守り方と関係している。FCソウルは自陣深くでボールを持った際、バックパスを使いヴィッセルのプレスを回避していた。しかし最終ラインの前で起点を作られてしまった場合は、背後に人を回す余裕を持つことはできない。さらに言えば、大迫が起点となって武藤の走路上にボールを出した場合、1st leg同様、この日の試合でも効果を発揮していた武藤のドリブル突破にも対応しなければならない。要は大迫が前線で起点となったことで、FCソウルの「ヴィッセル対策」は無効化されていったのだ。
FCソウルの選手たちも、長く日本代表のエースとして活躍した大迫のことは熟知していたはずではあるが、改めてその凄みを感じたのではないだろうか。FCソウルの選手にとっては「大迫」という武器を、いきなり突き付けられたような格好となった。FCソウルの選手は当然のように大迫には厳しく寄せていったが、大迫はボディアングルでそれを受け流しながら、時には小さな弧を描きターン、時にはそこからドリブルと多彩な技を駆使して起点となり続けた。その結果、FCソウルは守勢に回る時間が増え、ヴィッセルのプレスが機能し始めた。これによって、漸くヴィッセルは主導権を奪い返した。
同点弾が生まれたのは78分だった。トゥーレルからの縦パスを受けた大迫は一瞬左に流れるような動きで時間を作り、逆サイドにパス。これは長すぎたように見えたが、広瀬が懸命に走り、ゴールライン上で近くに来た武藤へとつないだ。武藤はワンフェイク入れて、寄せてきた相手をかわしてからこのボールを触り、ペナルティエリア左角外から斜めのクロスを入れた。スライディングしながらそこに走り込んだ大迫が、このボールを右足に当ててゴール左に流し込んだ。このゴールによって、ヴィッセルは再びアグリゲートで一歩前に出た。このゴールについて、アシストを記録した武藤は試合後に「やっぱりサコくん(大迫)だから決められたんじゃないかなと思います」と語ったが、その言葉通りの見事なゴールだった。
試合後の会見の中で大迫についてスキッベ監督は「インテリジェンスのあるプレーヤー」と評した。その技術もさることながら、試合の中で見せる状況判断の正確さと選択するプレーの正しさを高く評価しているということだ。そしてスキッベ監督は「これは武藤についても同様」と語り、ヴィッセルの両エースの能力の高さを認めていた。この指揮官の言葉通り、この試合で大迫と武藤が見せたプレーは、FCソウルを確実に上回っていた。この両エースが必死になって奪った1点目は重く、この後、FCソウルの勢いが停滞したことを思えば、試合を決定づけた得点だったと言えるだろう。
この日ボランチで出場した井手口陽介は、試合後「後半にサコくんが入ってからはチームの雰囲気が変わりました」と述べたが、プレーの質だけでなく、ピッチに入るだけで味方に自信を与えることができるのは、まさに「エースの貫禄」と言えるだろう。

カバーシャドウ
ダメ押しとなった2点目は、大迫と井手口、そして佐々木の見事な連携から生み出された。89分にジエゴが左タッチライン際で相手と競り合いながら強引に前に蹴り出したボールを、右サイドバックのチェ ジュンがGKのク ソンユンに戻した。ここでクは前に立っていたバベツを狙ったパスを出したのだが、飛び出した井手口がこれをカット。そのままきれいなループシュートをゴール右に蹴り入れた。
この場面におけるポイントは3つある。
1つ目は佐々木の動きだ。ジエゴが前に蹴った時、佐々木はジエゴの背後にいた。位置的にもチェの方が有利な位置に立っていたのだが、佐々木はサボることなくこれを追った。この佐々木の動きがチェにGKへの横パスを選択させた。試合開始から走り続けてきた佐々木だが、この時間になってなお走ることのできるスタミナは大きな武器だ。
2つ目のポイントは大迫のプレスだ。チェがボールを蹴る前、クの視野には3人の選手がいた。しかし大迫がクの左側から入ってくることで、クから見て左側の選択肢2つを消したのだ。ここで大迫が見せた動きこそがカバーシャドウと呼ばれるものだ。この「背中でパスコースを消しながら出ていくプレス」によって、クには前に蹴る以外の選択肢は残っていなかったのだ。
3つ目のポイントは井手口の動きだ。カバーシャドーが効果を発揮するためには、それを理解している選手が必要だ。どのパスコースが消えて、どれが残っているかということを正確に見極める目がなければ、せっかくのカバーシャドーも、その効力を発揮することはない。そして井手口はこれを持った選手だ。大迫の動きによって、クに唯一残された選択肢がバベツであることを見抜いたからこそ、井手口はバベツを背後から追い抜いて前に出ることができたのだ。
プレスをかけている選手の角度を正しく把握し、相手の身体の向きなどから正確に予測することは、実は難しい。こうした能力について我々は「サッカーセンス」といった表現を使ってしまうことが多いが、これでは曖昧過ぎるように思う。かつてヴィッセルで指揮を執っていた松田浩氏は、こうした能力について「ボール周辺の雲行きを読む」という表現を使っていた。要はボールの位置と相手や味方の位置、その様子から次のプレーを予測するということだ。それができる選手は、状況に応じた効果的なプレーを選択することができる。この日の試合でも井手口は何度も的確なカバーリングを見せ、チームの危機を救った。それは無尽蔵のスタミナだけではなく、ボール周辺の雲行きを読む井手口の能力があればこそだ。

的中した采配
この日の試合でスキッベ監督が切った交代カードは、ハーフタイムの2枚だけだった。そこで投入された大迫が試合の流れを変えたことは前記した通りだが、同時に投入されたジエゴも効果を発揮した。左ウイングに入ったジエゴは、何度も前に向けて積極的にプレーした。高さと強さのあるジエゴの見せたアタックは、直接的に効果を発揮したわけではないが、徐々にFCソウルの出足を鈍らせていった。これこそがスキッベ監督の狙いだったのだろう。前半、FCソウルの攻撃を牽引したサイドに直接的な圧力を加えることで、FCソウル全体を停滞させたかったのだろう。これによってヴィッセルの中盤から後ろに余裕が生まれれば、前に入った大迫を活かした攻撃の精度も期待できるということだったように思う。
この日の試合だけを考えれば、交代カードを3枚余らせたことはもったいなかったように思えるが、スキッベ監督は次戦のことも考えていたように思う。次戦まで中2日という強行日程を考えれば、使えるカードを1枚でも多く残すことの効果は大きい。そしてこの日の試合でフル出場した選手たちの消耗を抑える意味でも、FCソウルの攻撃を停滞させたかったのではないだろうか。そう考えるとジエゴというカードが、実は思った以上に大きな意味を持っていたとも言える。加えてこの日の試合ではジエゴだけではなく、扇原貴宏もベンチメンバーに名を連ねた。こうした選手の戦列復帰によって、ヴィッセルの戦力は厚みを取り戻しつつある。
試合後に大迫はスキッベ監督について「若い選手も積極的に使う監督なので、チームとして本当に成長していると思います」とコメントした。ACLE、そしてJリーグという2つの戦いで結果を残すためには、チーム全体の底上げは不可欠だ。それを実戦の中で行うことのできるスキッベ監督の采配も、今季のヴィッセルにとって大きな武器となっている。
ファイナルズに向けて
結果的にFCソウルに3連勝を飾り、ヴィッセルは無事にファイナルズ進出を決めた。しかし前記した通り、この先の試合は、一段階レベルの高い相手との対戦となる。そこで勝利を積み重ねていくためのポイントは、やはり攻撃ということになるだろう。この日の試合のように自分たちのペースに持ち込めないとき、いかにしてペースを取り戻すかという部分に、ヴィッセルは伸びしろを残している。
この日の試合は平日のナイターという、観戦には厳しい条件ではあったが、1万4千人を超えるサポーターがヴィッセルの決戦を見守り、声援を送り続けた。これこそがヴィッセルのスローガンでもある「一致団結」が言葉だけではないことを証明している。自身の誕生日にスタジアムに駆け付けた三木谷浩史会長からサポーターまで、ヴィッセルにかかわるすべての人が「ファミリー」であることを印象付けた試合でもあった。
次戦は中2日での名古屋戦だ。アウェイでの戦いではあるが、大勢のヴィッセルサポーターが駆けつけることだろう。ヴィッセルの選手たちならば、そのサポーターの前で「強いヴィッセル」の姿を見せてくれると確信している。日程的には厳しい試合ではあるが、今のヴィッセルにはそれを凌駕するだけの期待感がある。

