かつて全国高等学校野球選手権大会において、全国制覇を成し遂げた強豪校の元監督に聞いた話だ。様々な面において特殊性を持つ高校野球ではあるが、その1つがレギュレーションだ。
ベンチ入り人数は現在でこそ20人だが、かつては15人という時代が長く続いた。その限られた人数でトーナメントを勝ち抜いていかなければならなかったのだ。超人的な活躍を見せる数人の選手に依存して勝ち抜いていくケースも稀にはあるが、多くの場合では、文字通り全ての選手の力を結集しなければ勝ち抜くことは難しい大会だったという。その元監督にチーム作りのポイントを尋ねたところ、「無駄な試合を作らないこと」という答えが即座に返ってきた。
トーナメント形式の戦いでは、何よりも勝利が求められることは言うまでもない。しかし「目の前の試合に勝つ」ということだけを求めてしまうと、結局優勝には手が届かないという。大事なことは、地方予選を含めたすべての試合に対して、テーマをもって臨むことだというのだ。そのテーマは選手個人にフォーカスしたものである時もあれば、チームとしての戦い方についての時もあったという。いずれにしても全ての試合に対して勝敗とは別のテーマを持って臨み、その結果を踏まえたチーム強化を続けていかなければ、頂点に立つことはできなかったと話してくれた。
競技やカテゴリーなど、全てにおいて異なる高校野球の話を書いたことには理由がある。それは今のヴィッセルが置かれている立場が、こうしたトーナメントに臨むチームと似ているためだ。3連覇を目指すJ1リーグ戦の残り試合は8。現時点での消化試合数がヴィッセルよりも1試合少ない3つのクラブが、ヴィッセルの上に立っている。勝点差は1と最小に留まっているものの、その3つのクラブの1つである柏との直接対決は既に終了している。さらに2連覇を目指す天皇杯では、準決勝を約2カ月後に控えている。こうした状況を鑑みれば、今のヴィッセルが意識すべきは「目の前の試合に全て勝つ」という一点に集約される。これだけであれば吉田孝行監督が常日頃から口にしていることであり、選手たちも違和感なく受け入れることができるだろう。しかしチームを率いる吉田監督にとってここから先の戦いは、チームをより強くするためのトレーニングでもなければならない。しかも負けることの許されないトレーニングだ。シーズン終了時に甘美な果実を手にするためには、全ての試合で「昨日までの自分たち」を越えていかなければならないのだ。
こうした視座に立ってこの日の試合を振り返った時、勝利という結果以外にも収穫はあったように思う。しかしその収穫は、確認的な意味合いが強いものだった。これをこの先に控える戦いに活かしていくための努力を怠ることはできない。
AFCチャンピオンズリーグエリート25/26(以下ACLE)の初戦の相手となった上海海港は、中国スーパーリーグを代表する強豪クラブだ。中国スーパーリーグを連覇中であり、今季は3連覇に挑んでいる上海海港だが、現時点での順位は2位。首位に立つ成都蓉城を勝ち点2差で追う展開となっている。既にカップ戦においては敗退しているため、残された大会はリーグ戦とこのACLEだけとなっている。その上海海港との対戦は2025年という単位で見た時には2度目となる。1度目は2月に行われたACLE24/25リーグステージでの対戦だ。この試合はヴィッセルのホームゲームとして行われたが、結果は4-0の完勝。攻撃では武藤嘉紀、鍬先祐弥、汰木康也、大迫勇也がそれぞれ得点を挙げ、守っては上海海港のシュート数を3本に抑えたというものだった。試合内容も圧倒的だった。長短のパスを織り交ぜたヴィッセルの攻撃は速く、上海海港は陣形を整えることもできないままに、目の前のボールに対処するのが精いっぱいだった。結果としてセカンドボールの回収率でもヴィッセルが上回り、主導権を握ったまま試合を終えた。
この対戦から約7カ月が経過したが、チーム力はそれほど急激に上がるものではない。この日の試合も、局面単位で見た時には、ヴィッセルに分があることは明らかだった。しかし試合そのものを振り返った時、2月の対戦時ほど楽な展開でなかったことは事実だ。3-0という結果だけを見ればヴィッセルが完勝したように思われるかもしれないが、そうとは言えないのが実情だった。先制点を奪った後の時間帯は、ヴィッセルの守備が後手を踏む場面が散見された。その中で26分と31分、そして35分と、立て続けに上海海港にとって決定的なチャンスが訪れた。ここではGKの前川黛也が素晴らしい対応を見せたことで事なきを得たが、これが1つでも決まっていれば、試合の展開は全く異なるものになっていたと思われる。
上海海港を率いるケヴィン マスカット監督は、かつて横浜FMを率いてJリーグ制覇を成し遂げた経験を持つ。2023年にヴィッセルがJ1リーグ初制覇を成し遂げた際、最後までヴィッセルを苦しめた指揮官でもある。そのマスカット監督はこの日の試合後、上海海港の選手たちが見せたパフォーマンスには満足しているとコメントした。その上でヴィッセルと上海海港の差は「決定機を決める力」にあるとした。「前半は我々の方がチャンスの数は多かったと思う」と口にしたのだが、これは能動的にヴィッセルを崩そうとした結果、複数回ゴールに迫ったということを意味しているのだろう。
このマスカット監督の見方が間違っているとまでは言えない点に、この試合の評価の難しさがある。

ではこの試合を難しくした要因は何か。そこには3つの要素があったように思う。
1つは気候だ。試合後にアンカーとしてフル出場を果たした扇原貴宏は「気温はそこまで高いとは思わなかったが、湿度が高いと感じた」とコメントしたが、まさにその通りの気候だった。この試合の気温は26度と、かろうじて許容できる範疇にあった。問題は湿度だった。86%という凡そサッカーをやるには相応しくない高湿度の中の試合となったのだ。近年は「湿度疲れ」という言葉も聞かれるようになったが、湿度は気温以上にプレーを妨げる。86%という高湿度の中では、空気中の水蒸気量は飽和状態に近い。そのため汗が蒸発し難くなる。汗が蒸発し難いということは、汗の蒸発によって体温が下がる気化熱の作用が期待できないということだ。その結果、体内に熱がこもりやすくなる、いわゆる「オーバーヒート」状態になってしまうのだ。体内に熱がこもることで、身体は体温を下げるためにより多くの汗を出そうとしたり、心拍数を上げてしまう。これによって疲労感は増し、身体全体が重く感じられるようになるのだ。
高湿度からくる疲労は、上海海港の選手も同様だったはずではあるが、ヴィッセルの選手は、そこに「慣れない環境」と「長距離移動」という要素が加わっていた。上海への渡航に際しては神戸空港を使用することで、クラブも選手の負担を下げようとしたが、長距離移動であったことには変わりはない。この海外遠征による環境の変化が2つ目の要素だ。
そして3つ目の要素だが、これはボールの違いだ。今大会から公式試合球が日本のMolten製からスペインのKELME製に変更されたのは周知の通りだが、前日にACLE初戦を戦った町田の昌子源のコメントに拠ると「難しいボールだった」という。その特徴について昌子は「いつもの感覚で蹴ったら、すごく失速してしまう。蹴り方を変えてパワーを付け加えると、今度はアウト回転がかかって戻ってくるような感じだった。反発がなく、軽く蹴るだけで飛んでいってしまう」とコメントしていたが、KELME製のボールは、独特の癖を持っているようだ。ヴィッセルも事前トレーニングではこのボールを使用していたものの、初めて立つピッチの特徴も相まって、選手たちはボールコントロールに苦労していたように見えた。近距離のパスが精度を欠き、リズムを作り切れない場面やミドルレンジのパスが簡単にカットされる場面が散見されたのは、慣れないボールの影響もあったのではないだろうか。
これらの要素が絡み合った結果、「局面単位」では「ヴィッセルらしさ」がそれほど発揮されなかった。
過去に何度も書いてきたことだが、ヴィッセルのサッカーには3つの要素がある。1つはボールの奪いどころをチームとして定めた上での、前線からの連動したプレス。2つ目は攻守の素早い切り替え。3つ目は局面単位で見せる球際の強さだ。これらを総称して「ヴィッセルらしさ」と表現することが多いが、このベースには選手個々が持つ高い技術がある。これがあればこそボール保持に変わった瞬間に相手陣内に素早く攻め入り、相手の守備にプレッシャーをかけ続けることができる。しかしこの日の試合ではそのリズムがなかなか生まれなかった。疲労と扱いにくいボール、そして不慣れなピッチによって「ヴィッセルらしさ」が発揮できなかったと言えるのかもしれない。そしてその不安定さが相手にカウンターのチャンスを与えてしまい、それによってマスカット監督には前記したような印象を与えてしまったのかもしれない。これこそが、この試合の評価を難しくした最大の原因であるように思う。
とはいえその中でもヴィッセルは強さも見せた。最もそれが発揮されたのは「守備」においてだった。前記したように「らしくないミス」からカウンターを受ける場面も多かったが、最後の部分では守備の粘り強さを見せた。GKの前川黛也によるスーパーセーブもあったが、山川哲史、マテウス トゥーレルの両センターバックを中心とした守りは最後まで堅かった。特に山川は、上海海港の前線で起点となっていたグスタボをマークし、自由を与えなかった。そして山川に呼応して動いていたトゥーレルは、こぼれ球への反応も速く、広い範囲を動きながら攻撃の起点を潰し続けた。今やJリーグNo.1とも評されるこのセンターバックコンビは不慣れなピッチ上でも落ち着きを失うことはなく、最後まで安定した守備を見せ続けた。上海海港のプレスが単発で、それほど強くなかったこともあり、ボール保持に変わった後は、この両者は積極的に前にボールを運ぼうと企図していた。これが攻められている時間帯にも重心を下げさせない効果を生んでいた。
トゥーレルが見事なプレーでチームを救ったのは26分だった。前川の蹴ったロングフィードを、相手選手が頭で大きく弾き返した。これに競ったのは山川だったが、相手フォワードとの競り合いで体勢を崩し、ボールは後ろにこぼれてしまった。このボールに対してグスタボが抜け出すような格好になってしまったのだが、これを背後から追ったのがトゥーレルだった。トゥーレルはグスタボの前に出ることはできなかったが、背後から左側を切るように動いたことで、グスタボのシュートコースを限定した。そのシュートを前川が防いだことで、ヴィッセルはピンチをしのぎ切った。ここでトゥーレルがボールだけを追い続けてしまっていたら、グスタボは左に流れてシュートコースを確保したはずだ。相手を追いながらも味方GKの位置を確認し、シュートコースを限定するという最上級の守備をトゥーレルは見せてくれた。

自陣での守備という点について言うと、やはり酒井高徳は別格の存在だった。上海海港が勢いをもって押し込んでくる時間帯にも、酒井は落ち着いて相手の動きを読み、ボール奪取後は自らの動きでプレーするスペースを確保し、そこからしっかりと蹴り返していった。どんな試合でも自分のプレーを高い次元で発揮することのできる酒井の存在は、チームメイトに対して安心感を与えている。サイドの狭い局面での勝負になった際などは、酒井に渡せば何とかなるという思いがあるため、ヴィッセルの選手は相手との距離を取って守ることなく、相手に詰めていくことができる。
守備についてもう1点付記しておくと、この試合でも井手口陽介のスタミナは健在だった。前記した高湿度は井手口のスタミナも奪っていたはずなのだが、最後まで井手口の動きが落ちることはなかった。上海海港が攻め込んできた場面では自陣に戻り、センターバックとサイドバックの間のスペースを埋めたかと思えば、ボール保持時に変わった瞬間に前まで上がり、背後から攻撃陣を押し上げる役割を果たしていた。広い範囲を動き続けることができ、加えて高いボール奪取能力とボールスキルを持った井手口の存在は、全体が疲弊したこの試合では一際輝きを放っていた。
この酒井と井手口がお膳立てした3得点目は、この試合におけるベストゴールだったように思う。43分に前川のスローは回転投法のような格好になり、思った以上に低く距離の出るボールとなった。これをハーフウェーライン手前で受けたエリキは、そのまま前に上がった。相手の最終ラインの前には大迫と宮代が立っていたが、人数的に薄いと判断した大迫はエリキに対して手で前進を制した。これを受けてエリキはハーフスペースに移動しつつ、レーン間を上がってきた井手口にボールを渡した。ここで井手口のサイドを使ってゆっくりと上がってきたのは酒井だった。井手口は酒井とのパス交換で相手守備の目を外側に向けさせた上で、ペナルティエリア右角に立っていたエリキにパス。ここでエリキ、井手口、酒井のトライアングルが完成した。タッチライン際でエリキからのパスを受けた酒井はエリキに戻すのと同時に、前に向けて走り出した。その際、相手の内側に走路を取った。エリキは再び井手口にボールを戻したが、この時の状況を井手口から見ると、酒井には相手がマークについていたものの、酒井が内側を取っているため、井手口は酒井をはっきりと視認できていたのだ。井手口が酒井の走路上に出したボールに酒井は難なく追いつき、深い位置からマイナスに折り返した。これをニアに立っていた大迫がきっちりと決めて見せた。この場面で井手口と酒井が見せたポジショニングこそが、相手に対する優位性を確立するものだ。これがあれば人数的不利は影響しないということを、この両者は見せてくれた。

ヴィッセルにとって厄介だったのは、2列目に入っていたオスカル メレンドだった。ラ・リーガでのプレー経験も豊富なオスカルは、動きながら攻撃を組み立てることのできる選手だった。上海海港は中央に高さと強さのある選手を配していたため、ヴィッセルの守備陣はそこを離れることができず、そこで生まれたスペースをかなり使われており、試合を通じて危険な存在だった。
再三書いているように、この試合は「守り勝った」試合でもあった。しかし前線で先発したエリキ、大迫、宮代の3人に得点が生まれたことの意味は大きい。ヴィッセルにとっては久しぶりの90分間での複数得点ではあったが、その得点を奪うことができた理由に注目しなければならない。
この日の試合で攻撃を活性化したのは、インサイドハーフで先発した井出遥也だった。試合後に井出の口からは「自分の良さを出さなければ試合に使ってもらえない」、「これがラストチャンスだと思ってプレーした」など、悲壮感のある言葉が発せられたが、その思いを見事にプレーで表現して見せた。
過去にも書いたことだが、井出の特徴は前線でのコネクターになれる点にある。運動量も豊富であり、ボールスキルも高い。そして何よりも相手の嫌がる場所を見抜くことのできる目をもっているため、前線のタレント軍団を動かしつつ、彼らを有機的につなぐことができる選手だ。そしてこの試合で井出が見せた「機能」こそが、最近のヴィッセルに最も不足しているものだったのだ。
最近の試合で吉田監督はインサイドハーフに井手口と宮代を配し、前線には大迫とエリキ、そして左に汰木や武藤を並べることが多い。特に前線の選手たちは際立った個性を持っており、個人で勝負することもできる選手たちだ。しかしその「個」が強烈であるがゆえに、対戦相手は徹底したマークをつける。そのため、攻撃が単発に終わってしまう場面が目立っていた。インサイドハーフの宮代も高い技術を持つ選手ではあるが、『取らせる選手』ではなく、やはり『取る選手』だ。結局のところ最近のヴィッセルは『取る選手』だけで攻撃を組み立てていたことが、得点力の低下につながっていたように思う。佐々木大樹が戦線を離脱する前、宮代はゴールを量産していた。これは佐々木が『取らせる選手』に徹していたため、成立していたのだ。さらにその時期は左ウイングに、これまた『取らせる選手』である広瀬陸斗が入ることも多く、『取らせる選手』が2人は確保できていた。そして攻撃に厚みが足りない時には、佐々木が『取る選手』へと役割を変えてプレーしていたため、ヴィッセルの攻撃から厚みが消えることはなかった。
最近の試合では万能型の選手である大迫がサイドに流れて『取らせる選手』へと役割を変えることもあるが、その場合は『取らせる選手』1人と『取る選手』3人と、明確に役割が別れてしまうため、相手にとっては守るべきポイントを定めやすい。この先の戦いで井出を使うことができれば、『取らせる選手』1人、『取る選手』2人と両方を兼ね備えた選手1人という体制が整う。
吉田監督にはこの試合で3得点奪ったという結果だけではなく、なぜ複数得点を奪うことができたのかというメカニズムに目を向けてもらいたい。「コンディションはかなりいい状態」という井出を上手く使うことができれば、ヴィッセルの攻撃力の復活が期待できる。
そしてもう1人、この試合で輝きを放っていたのが途中出場を果たした汰木だった。直近の試合では負傷交代しただけに、その状態が心配されたが、この試合でも独特のリズムのドリブルで積極的に前を狙う姿勢を見せてくれた。この汰木も『取らせる選手』になることのできる能力を持っている。ドリブルで仕掛けることもできるため、サイドからの深い位置への侵入回数を増やすことができれば、これも得点力アップに直結するだろう。相手と正対することが少ないため、斜めにカットインしてのシュートといったプレーではなく、サイドの深い位置から中央に折り返すというプレーで勝負できる選手であるだけに、井出との同時起用にも期待したい。

またこの試合では、的確な分析がヴィッセルの攻撃を支えたことも記しておきたい。試合後に宮代は「サイドを抜け出した時、逆サイドは空く」、「揺さぶられるのが苦手なチーム」というスカウティングを受けていたことを明かしたが、宮代が決めた2点目などはその通りのゴールだった。右サイドでエリキが巧く入れ替わって抜け出した時、上海海港の守備は全体がボールサイドに寄っていた。これを見た宮代は迷うことなく逆サイドに立ち、エリキからのクロスを頭で決めた。
この日の試合に限って言えば、守備力を攻撃力で上回ろうというチーム作りを進めている上海海港が相手であったゆえに、何度も前線にいいボールが入っていた。ヴィッセルの攻撃力をリスペクトした上で、強度の高い守備を見せるJ1リーグ所属チームを相手にした場合、これほど楽な展開にはならないだろう。しかし前記したように攻撃に必要なエッセンスを正しく抽出し、成分分析を行い、その結果を選手たちにフィードバックすることができれば、必ずやヴィッセルの攻撃力は甦るだろう。
このように、この日の試合では今ヴィッセルが抱えている問題を解決するためのヒントが見つかったように思う。その意味では、冒頭に書いた「試合での収穫」はあったと言えるだろう。この試合で得た収穫を、次の結果に結びつける作業は吉田監督に託されている。3度目の監督就任以降、着実に結果を残してきた吉田監督がさらに大きな存在になるためにも、この作業を必ずや成功させてほしい。
そして吉田監督にもう1点望みたいのは、大胆な采配だ。この日の試合でヴィッセルの選手に疲労の色が見えていたことは事実だ。交代については、試合前に立案したゲームプランがあったとは思うが、そこに縛られすぎない大胆さも見せてほしかった。この日の試合では守備陣の奮闘によってクリーンシートを達成することはできたが、相手の攻撃の質に救われた部分があったことも事実だ。ゲームプランは、先に控えている試合をも睨んで立案されたものだとは思うが、状況によってはそれを自ら壊さなければならない時もある。
この日の勝利によって、ACLEは好スタートを切ることができた。次戦は中5日での東京VとのJ1リーグ戦だ。十分な時間があるとは言えないが、この日得た収穫を形にして、高い攻撃力を取り戻したヴィッセルの姿を見ることができるものと確信している。


