この日の勝利によって、ヴィッセルは今季横浜FMを相手にホーム、アウェイの双方で勝利する「シーズンダブル」を達成した。これは1999年以来だという。加えて横浜FMからホーム開催のリーグ戦で勝利したのも2011年以来で、実に13試合ぶりだという。

ヴィッセルが2連覇を達成する前、Jリーグを牽引していたのが横浜FMと川崎Fだったことは間違いない。同じ神奈川県に本拠地を置くこの2つのクラブは圧倒的な攻撃力を武器に、Jリーグを席巻していた。ヴィッセルが「J1残留争い」に巻き込まれた2022年の最終節は、そんな横浜FMとのホームゲームだった。試合は1-3で敗れ、目の前で横浜FMの戴冠を見ることとなった。この日の試合後、吉田孝行監督は横浜FMとの差について尋ねられた際に「全てにおいて彼ら(横浜FM)が上回っていると思います」と答え、トランジションや攻撃の速さにおいて差があったと分析した。実際にピッチで相対した選手たちも、指揮官と同様の感想を持っていた。武藤嘉紀は「地力の差が出ていた」とした上で「横浜FMのように誰が出ても質が落ちない。そして同じ戦術で戦えるようにならなければいけない」と語った。そして酒井高徳は横浜FMが優勝をかけた試合であったのに対して、ヴィッセルは「J1残留」が決まっていたという、それぞれの立ち位置によるモチベーションには差があったことを認めた上で、横浜FMと川崎Fのサッカーを「時間が経つにつれて勝率が上がっていくサッカー」と評した。そして最後まで手を緩めずに戦い切る姿勢に、自分たちは学ぶべきであるとコメントした。この翌年、ヴィッセルは力強さを手に入れ、タイトル獲得、そして連覇へと突き進んでいった。このように見てくると、横浜FMはヴィッセルにとって大きなきっかけを与えてくれた「恩人」のような存在だったように思う。
今、その「恩人」は苦しんでいる。シーズン当初から波に乗ることができず、一時はJ1リーグ戦で最下位になるなど、シーズン前の予想を悪い意味で覆し続けている。その理由は複数あるように思うが、本項における本筋ではないため割愛する。ここで学ぶべきは、チームとしての強さを保ち続けることの難しさだ。
指導者や選手が入れ替わっていく中で、チームは変質していく。それは意図する、しないに関わらず起こることだ。その変質に気付き、状況に応じた最適解を求め続けることができなければ、どんなチームも強さを保ち続けることはできない。
かつて西武ライオンズを率いて、9年間の監督生活で8度のパ・リーグ制覇、そして6度の日本一を達成した森祇晶氏は「王者で居続けるほど難しいことはない」と語ってくれたことがある。同時に森氏は「王者の地位を守り続けるためには、変わり続けなければいけない。たとえ結果が出ている最中であっても、変えることを恐れてはいけない」とも語っていた。
今、ヴィッセルは「Jリーグを代表する強豪クラブ」として、多くの人に認識されている。この評価を定着させるためには、常に客観的な自己分析を続け、必要な変化には積極的にスピード感をもって取り組む勇気を持ち続けなければならないのだろう。
以下に試合を振り返ってみる。
この日のメンバーは次の通りだ。GKは前川黛也。最終ラインは右から酒井、山川哲史、マテウス トゥーレル、永戸勝也の4枚。中盤は鍬先祐弥がアンカーに入り、インサイドハーフは井手口陽介と宮代大聖。前線は右からエリキ、大迫勇也、武藤の3枚だった。
PKにまでもつれ込んだ天皇杯の激闘からわずかに中2日。それだけに、選手の起用法がこの試合における最大のポイントだったように思う。2戦連続での先発メンバーこそいなかったものの、この日の試合に出場したうち9名の選手が、天皇杯との連続出場を果たした。その9名を、天皇杯での出場時間順に並べてみる。
天皇杯では先発フル出場した本多勇喜の120分が最長だ。次は80分までプレーした山内翔。そして後半開始から出場したエリキと山川が、延長を含めて75分。次は本多や山内と同様に、天皇杯では先発起用された井出遥也と飯野七聖が64分。これに続くのが、天皇杯では64分に投入された宮代と鍬先で、時間は延長を含め56分。そして最も短かったのがジェアン パトリッキの30分ということになる。この出場時間は交代した時間に基づいた計算であるため、実際にプレーした時間とは異なるが、参考にはなる。
次にこの8名にこの日の出場時間を加えてみる。最長は山川だ。そして以下エリキ、宮代、本多、山内、鍬先と、ここまでが100分超えとなる。そして井出、飯野、パトリッキの3選手は70分以下となっている。ここに名前の挙がった選手たちは、吉田監督にとって「無理の効く選手」ということであり、彼らの力があればこそ、ヴィッセルはタイトルに対して貪欲でいられる。天皇杯の試合後、鍬先は「サッカー選手としては、出場機会をいただけるのはありがたいこと」と話していたが、複数のタイトルを狙う上では、彼らの果たす役割は大きい。
中でもその活躍によってチームを牽引しているのが、主将を務めるセンターバックの山川だ。この日はさすがに体力的な厳しさは感じていたようだが、それでも集中力を切らすことなく最終ラインを統率し続けた。特に右から入ってくる相手のサイド攻撃に対しては、プレスバックした酒井の位置を見た上で、中への走路を切るような動きで対応した。決して派手なプレーを見せる選手ではないが、センターバックに求められる「確実性」という点においては、全ての日本人選手の中でも上位に位置していると思う。背後をトゥーレルや井手口が埋めてくれるという安心感もあるのだろうが、山川が中への侵入を防ぐように立つことで、相手のサイド攻撃をスローダウンさせる効果を生んでいる。加えて今の山川は、前に出てボールを奪う技術を身につけている。縦に向かってくる相手に対しては、そのドリブルのリズムを計りながら、絶妙のタイミングで前に出てボールを奪う。そしてこの時、タッチラインと逆側の足を出すことで奪い切れなくとも、ボールが中に入らないような工夫を見せている。今季はGKの前川に次ぐ出場時間を記録しながらも、決して標準を下回ることのないプレーを見せ続けている山川は、吉田監督がチームを構成する上での「土台」とも言うべき存在にまで成長した。酒井というベテラン選手のフォローを受けつつも、背中でチームを牽引している山川は、今や堂々たる「クリムゾンレッドのキャプテン」だ。

この試合で最も注目したのは鍬先だった。不動のレギュラーとも言うべき扇原貴宏が累積警告によってこの日の試合には出場できないため、アンカーが本職である鍬先が先発起用された。このポジションはその試合における「チームの色」を決めてしまう。3日間に行われた天皇杯では、山内がなかなか前を向くことができない中で、チーム全体が前に上がり切れなくなってしまったことは記憶に新しい。筑波大時代には見事なポジショニングを見せていた山内が苦しんだ姿は、ロングボールを使うことも多いヴィッセルの戦い方の中で、チーム全体を前に向け続けることの難しさを示している。この難しいポジションにおいて鍬先は、吉田監督の期待に応える見事なプレーを披露した。
ヴィッセルのボールの動かし方は、最終ラインと前線で構成されるスクエアの外周に沿っていることが多い。ここにサイドバックとウイングをつなぐ斜めのパスを加え、ピッチを広く使おうとする。この時、中盤の3枚はパスコースの中に閉じ込められたような格好になるわけだが、そこでの動き方には「センス」が問われる。インサイドハーフの2枚は攻撃のフォローという形になることが多いが、アンカーはボールに関与しない時にも、チーム全体の位置を決定するように動くことが求められる。これを解決するために鍬先は、ボール保持時には最終ラインから見える位置に立つことを意識し、積極的にボールを引き受けていった。そしてボール非保持から保持に変わった瞬間は、どんな体勢からでも前を向く意思を見せ続けた。これこそがアンカーに求められる能力だ。状況によってはボールを下げることもあるが、その際ですらも「隙あらば前を向く」という意思を持ち続けていないと、最終的には低いセーフティーな位置でボールに関与するだけの存在となってしまう。こうした動きを続けた結果、鍬先は「チームの臍」であり続けることに成功した。この試合におけるパスネットワークを見てみると、出場していた全ての時間帯で、鍬先は中心点に位置していたことが判る。そして後半に入ると、その位置がハーフウェーラインを越えていた。この動きこそが、チームを前に向けるということだ。「扇原不在」という状況を、ヴィッセルは鍬先の活躍によって乗り越えることができたとも言える。その鍬先だが、相手との接触によって倒れる中で肩にアクシデントが起き、52分での交代となった。守備に特徴のある選手であるだけに、過去にも相手との接触で倒れるシーンは何度となくあったものの、あれほど痛がる鍬先を見たことはなかった。ユーティリティー性の高さもあり、チームにとっては欠くことのできない選手であるだけに、今は軽傷であることを祈るばかりだ。
この鍬先の活躍を支えたのが井手口だった。この試合では鍬先をフォローするように、ボランチの近くでプレーする時間も長かった。とはいえこの試合におけるヒートマップを見てみると、井手口の主なプレーエリアはハーフウェーラインよりも前にあったことが判る。鍬先のプレーエリアがミドルサード全体にわたっていたことと考え合わせると、この試合における井手口のポジショニングによって、鍬先はチームを前に向けることができたということが解る。井手口は鍬先の横ではなく、やや前に立ち、鍬先からのボールを受けるように動いていたのだ。ここにパスを出すということではなく、その井手口の位置を見ながら鍬先はプレーしたため、鍬先が下がりすぎることはなかった。横浜FMの中盤はダブルボランチと1枚のトップ下の正三角形で構成されていたため、ヴィッセルのアンカーと2枚のインサイドハーフが作り出す逆三角形との間にはギャップが生まれていた。しかし井手口が前記したような絶妙のポジショニングを見せたことで、トップ下である植中朝日とボランチの間を寸断した。これを嫌った植中が前に出たため、中央のレーンにおいては横浜FMの前線は孤立していた。これによってヴィッセルのサイドバックとウイングは、サイドの守備に徹することができるようになった。
この試合における最大のカギはサイドの攻防だった。横浜FMはここ数年間攻撃をけん引してきた前線の外国籍選手が揃って移籍したこともあり、攻撃スタイルが大きく様変わりしていた。以前はトップと両ウイングの外国籍選手にボールを届けることがテーマであり、そこから先は外国籍選手同士のコンビネーションに任せていたが、現在横浜FMを率いる大島秀夫監督はサイドからのクロスに重きを置くように舵を切った。そこで大きな力となっていたのが、この夏に磐田から移籍してきた右ウイングのジョルディ クルークスだった。クルークスは試合序盤から高い位置に出る姿勢が目立った。その際には同サイドのサイドバックである加藤蓮が一緒に高い位置まで出てきたため、このサイドには厚みがあった。このクルークスに対してボランチの喜田拓也が斜めにパスを差し込み、そこに加藤が後ろから押し上げてくる形が、ヴィッセルにとっては最も厄介だった。
これに対して粘り強い対応を見せたのが、左サイドバックの永戸だった。永戸はクルークスの前に立って前進を止めることで、守備を整えるための時間を作った。これが正解だった。永戸の動きに対して鍬先、そして同サイドのウイングに入っていた武藤がフォローに入り、加藤との間を断ち切り、クルークスをサイドで孤立させるように動き続けた。これによってクルークスが中に切れ込む形は減り、攻撃の形を限定することができた。

横浜FMの攻撃の軸であるクルークスへの対応を続けたため、この試合においては永戸が縦に上がってのクロスを放つ場面は少なかったものの、これは吉田監督にとっても想定内だったように思う。吉田監督とすれば、永戸が低い位置に押し込められたとしても、逆サイドの酒井を高い位置に上げた状態で攻撃に厚みを持たせたかったのだと思うが、その形も思ったほど作り出すことはできなかった。その要因もやはりクルークスの存在だった。前進を止められたクルークスが、ミドルサードの出口付近から大きく対角にボールを入れてきたためだ。クルークスの目標は左ウイングの宮市亮だった。ボールを受ける技術も高く、そこから動きながら次の展開を作り出すことのできる宮市を活かす方法としては有効な策だったように思う。
この宮市に対応したのが右サイドバックの酒井だった。酒井は宮市の進路を切りつつ、身体を入れていくことで、宮市から自由を奪った。これに対して宮市もテクニックを駆使して、酒井をかわそうとしていた。結果的に酒井がこのサイドを破らせることはほとんどなく、背後に立つ山川やフォローに来た井手口の奮闘もあり、このサイドから決定的な攻撃を許したのは、69分に植中が抜け出してゴール側からのシュートを放ったシーンだけだった。
この日の試合ではヴィッセルがクリーンシートを達成したものの、横浜FMの攻撃は前回対戦時と比較して、確実に良化していたように思う。6月に就任した大島監督の志向ではあると思うが、シンプルな攻撃に変えたことで、各選手のやるべきことが整理されたのではないだろうか。試合後に大島監督は、最後の決めきる力が不足している点を改善点として挙げていたが、前回の対戦時には感じることのなかった力強さがあった。
この試合でヴィッセルにとって最大の収穫は、前線の形が整った点だろう。中でも大迫が試合を通して起点となり続けたことは、今後の戦いに向けて大きな意味を持っている。この試合で大迫は、どんな体勢からでもボールを握り続けることのできる能力を遺憾なく発揮した。横浜FMの守備陣は、文字通り身体を使ってこれを阻止しようとしていたが、そうした局面での大迫の強さはやはり別格だった。相手に背中を預けるように身体の向きを変え、そのままボールを握り続けた。その際は体幹直下ではなく、足の前にボールを置くため、背後に立つ相手にとっては「近いが届かない位置」にボールを置かれている形となる。さらに大迫は全てのボールに対して競り合うのではなく、味方の状況やボールの軌道を見て対応を決めるクレバーさを見せてくれた。後半に入ってからは、低い位置でボールを握る場面も増えた。これによって武藤、エリキ、宮代といった選手を前に出す体制を整えた。卓越した技術と類まれな運動神経を持つ大迫だが、その特徴を活かすための頭脳が根底にはある。まだパスミスも多く、絶好のタイミングで放ったシュートも枠を僅かに外すなど、完全復活まではあと一歩といった印象ではあるが、大迫が「らしさ」を発揮できるようになってきたことは、この先の戦いに向けての好材料だ。
この大迫が低い位置でのプレーをする場面が増えると、宮代との新しい連携が生まれるのではないだろうか。その可能性を感じさせてくれたのは前半アディショナルタイムのプレーだった。右タッチライン際でボールを持った大迫が、前に立つ相手の間を通すスルーパスを送った。これに反応したのは井手口だった。井手口はレーン間を絞るように上がり、ペナルティエリア角前から中央に速いグラウンダーのボールを入れた。大迫がスルーパスを出した時、宮代は中央で相手選手の間に立っていたが、大迫のパスに合わせるように前に動き、マークする選手が井手口の動きに目をやった瞬間、シュートできる位置を確保した。シュートは枠を外してしまい、得点とはならなかったが、大迫が1列目と2列目の選手を使う形には、これまでとは異なる攻撃が生まれる可能性が秘められていた。こうした中から、チームの課題でもあった「宮代を使う形」が見つかるのではないだろうか。

この試合で特筆すべき動きを見せたのは、鍬先の負傷交代に伴って急遽投入された山内だった。この試合では井手口がアンカーに下がり、それまで井手口が立っていた右インサイドハーフに入った山内だが、いいリズムで試合に入った。そのためボールタッチも多く、チームに推進力を与えていた。3日前の天皇杯では苦しんだ山内だが、この試合では攻撃の比重が高いインサイドハーフでプレーしたことが、山内に迷いを生じさせなかったように思う。密集の中でボールを受ける位置を見つけることもできていたため、攻撃のリズムを停滞させることなく、テンポを上げる役割を果たしていた。今の山内にとっては、タスクの少ない位置でプレーすることで自信をつけることが必要なのかもしれない。いずれはチームの司令塔に育ってほしい逸材ではあるが、まずはJ1リーグ特有のスピードの中で、思い通りにプレーするという経験を増やすべきであるように思う。
後半のヴィッセルは、前線からのプレスの強度を高めることで、横浜FMのロングボールを消そうとした。これに合わせて最終ラインも高い位置を保つようになったことで、横浜FMに攻撃のリズムを作らせないようにしていた。これはハーフタイムの指示だったように思うが、見事な切り替えだった。この判断が奏功し、後半の飲水タイムまで横浜FMの攻撃は停滞した。その後は横浜FMも選手交代を有効に使いながら、ヴィッセルに対しての圧力を強めたが、最後の場面では集中した守備でこれを防ぎ切った。
この試合に勝利したことで、ヴィッセルは暫定ながら2位へと順位を上げた。試合後、選手たちからは「残り9試合を全て勝つつもりで戦う」という言葉が多く聞かれたが、選手たちが前を見すぎることなく戦えているのは良い傾向だ。思えば、昨季も終盤まで苦しんだ。こうした経験がチームに落ち着きを与えているのかもしれない。相手の対策を受ける中で、思うような攻撃力は発揮できていないが、しっかりと足もとを見続けることができれば、残り試合で最良の結果を残すことも、決して夢ではない。
そして何よりも、選手たちが試合終了後すぐに、次の試合に目を向けている姿勢を見せてくれたことは、我々観る側に希望を与えてくれた。試合後、サポーターの前に整列したヴィッセルの選手たちは、そこかしこで身振り手振りを交えながら、プレーについての改善点や反省点を話し合っていたのだ。この姿が続く限り、ヴィッセルは上を目指し続けることができる。
最後にこの試合では、ヴィッセルサポーターにも「一番星」を贈りたい。この試合でも先発した永戸だが、夏まで横浜FMに在籍していたこともあり、試合序盤から横浜FMサポーターからの容赦のないブーイングを受け続けていた。しかし20分過ぎに、ヴィッセルサポーターによる拍手がスタジアムを覆いつくし、そのブーイングを打ち消した。このヴィッセルサポーターが見せた粋な計らいに対して、永戸は「ブーイングは反応してくれるだけありがたいこと」としながらも、「ヴィッセルサポーターの拍手が力になりました」と感謝のコメントを口にした。「J1残留争い」の渦中に立っているチームとの対戦では、殺伐とした空気になることもままある。しかしこの日ヴィッセルサポーターが見せた機転は、そうした雰囲気からスタジアムを救い出した。「サッカーを楽しむ」という原点に立って観戦することができたのは、この日スタジアムを埋め尽くしたサポーターのおかげだ。
次戦は中3日でのYBCルヴァンカップ・プライムステージ第1戦だ。対戦相手は横浜FC。リーグ戦の前回対戦では敗戦を喫しただけに油断することはできないが、横浜FCが置かれている立場を考えると、ヴィッセルは優位に試合を進めることができる可能性は高いように思う。吉田監督は、出場時間をマネジメントしながら起用する選手を決めていくことになるだろうが、できることならば、この第1戦で圧倒的な優位性を確立してほしい。中3日で行われる第2戦から中4日で待ち受けているのが、J1リーグ・柏戦であるためだ。現在、リーグ戦においてヴィッセルよりも優位に立っている柏との対戦では「勝点3」という結果だけが求められる。そこでベストパフォーマンスを発揮するということからの逆算で考えると、第1戦でできるだけ差をつけた勝利を挙げておきたい。
それほど楽な対戦とならないであろうことは承知しているが、全てのタイトルを狙う以上、そうしたマネジメントも必要となる。その意味ではこの7連戦の最後に、吉田監督がどういったチームの姿を見せてくれるのかも楽しみだ。
