覆面記者の目

明治安田J1 第3節 vs.FC東京 味スタ(3/9 16:03)
  • HOMEFC東京
  • AWAY神戸
  • FC東京
  • 1
  • 0前半0
    1後半2
  • 2
  • 神戸
  • 小泉 慶(50')
  • 得点者
  • (57')宮代 大聖
    (74')大迫 勇也

今回は、劇的な勝ち越し弾を決めた「絶対的エース」の話から始める。試合後、大迫勇也は自身の得点について「(チームに)迷惑をかけていたので、決まってよかったです」と安堵の表情で振り返った。ここでいう「迷惑」とは、もちろん9分のPK失敗のことだ。この場面で大迫は、蹴る瞬間から軸足である左足が滑っていた。そのためインパクトの瞬間には身体も倒れこんでおり、蹴ったボールは大きく枠を外した。ゴール付近が日陰だったこともあり、試合前に撒かれた水が乾いていなかったためだろう。これについてはボールをセットする前に芝生の状態を確認し、ボールの周囲をしっかりと踏み固めるべきだったという意見もあるかもしれない。しかし、そうした声は結果論に過ぎない。それよりも筆者としては、その後に大迫が見せたリバウンドメンタリティーに注目したい。
 PKは「決めて当たり前」と思われがちだが、この考え方は、あながち間違いではない。12ヤードの距離をプロ選手が蹴った場合、ボールがゴールに到達するのは約0.6秒後と言われている。これに対してGKがボールに反応し、跳ぶために要する時間は0.5~0.7秒。GKがPKをストップするためには、シュートコースを正確に読み切った上で、そこに跳ぶ以外に防ぐ方法はないのだ。数字上からも、キッカーが有利な立場にいることが判る。それだけにPKの失敗は、キッカーに大きな精神的ダメージを与えると言われている。
 映像を見直してみると、大迫は試合後、このPK失敗を「あってはならないミス」と断じた上で、メンタル的に尾を引かなかったのかという質問に対して、「仕方ない。切り替えてやることが一番チームのためなので」と答えている。一流と呼ばれる選手は、総じて立ち直りが早いという事実がある。これはサッカーに限った話ではない。以前、プロ棋士に聞いた話だが、将棋界の頂点に立つ藤井聡太八冠も立ち直りの早さが際立っているという。想像を絶する天才が集まると言われるプロ棋士の世界においても、これは特徴的だという。その理由を尋ねたところ、「藤井八冠は純粋に将棋を楽しんでいるため」という答えが返ってきた。藤井八冠は将棋界の頂点に立ってなお、「強くなりたい」という気持ちが強いため、敗戦を失敗ではなく学びと捉えているという。多くの棋士がそうありたいと日ごろから思ってはいるが、実際には対局成績や順位といった「将棋以外」のことが気になってしまうため、対局を心から楽しむことはできないという。
 チーム競技であるサッカーと個人競技である将棋を同一に語ることはできないが、こと「立ち直る早さ」という点において大迫は、藤井八冠と似たメンタリティーを持っているのではないだろうか。以前、大迫は何かのインタビューの中で「サッカーが巧くなりたい」と口にしていたが、それはお決まりの文句ではなく、心から発せられた言葉だったのだろう。昨季、全ての個人タイトル、そしてリーグ優勝を手にしたからこそ言えることかもしれないが、この気持ちがあるからこそ、PK失敗以降のプレーに集中し、あの場面でフリーキックを決めることができたように思う。


 そしてこのゴールは単にこの試合の勝利をもたらしただけではなく、ヴィッセルにとっても大きな意味のあるものだったように思う。プレシーズンマッチを含め、前節までの4試合で大迫にゴールは生まれていなかった。どの試合でもチャンスは何度かあったように思うが、今季は相手のマークが集中していることもあり、それを決めることはできなかった。吉田孝行監督も語っているように、大迫の力量を考えれば、決して焦るような話ではないのだが、やはり結果が出るに越したことはない。どんなストライカーにとっても、シーズン最初のゴールは、安堵感をもたらすものだ。そう考えれば、3節という早い段階で大迫にゴールが生まれたことは、今後への福音となるだろう。

 次に試合を振り返りながら、昨日Viber公開トークで配信した速報版に記した「昨季のヴィッセルを超える2つの条件」について考えてみる。それは「人」、そしてその「人」がもたらす「変化」ということになるだろう。ここで言う「人」とは、もちろん新戦力のことだ。今季を迎えるにあたり、ヴィッセルは大幅な戦力補強を行った。その新戦力が持つ力をこれまでのチーム内に取り入れるだけではなく、彼らの個性を活かすことで変化を起こすことが、昨季のヴィッセルを超えることにつながる。この試合では、そうした可能性を感じることができた。


 体調不良から復帰した吉田監督はこの試合に臨むにあたって、前節で負傷した汰木康也と佐々木大樹をベンチ外とし、同時に4人の選手を今季初先発で起用した。左サイドバックの本多勇喜、左インサイドハーフの宮代大聖、右ウイングの武藤嘉紀、左ウイングの広瀬陸斗だ。フォーメーションとしてはこれまでと同じだったが、彼らの起用によってサッカーのスタイルはこれまでと異なる形になった。最も変わったのは左サイドの使い方だった。
 これまでヴィッセルの左ウイングは汰木、若しくはジェアン パトリッキが多く起用されてきた。彼らの特徴は異なっているが、共通しているのは単独で縦に仕掛けることができるプレーヤーであるという点だ。左サイドがこうした配置になっていたのは、右サイドとの兼ね合いだ。右サイドバックの酒井高徳、右インサイドハーフの山口蛍、右ウイングの武藤が縦に並ぶ右サイドは、ヴィッセルにとって攻撃の中心であり、最大の武器となっている。彼らはいずれもボールスキルが高い。さらには年齢も近く、代表を含め多くの時間をともに過ごしてきたことで、互いの特徴も理解しているためだ。ボール保持時には、酒井が高い位置に上がり、攻撃的にプレーする。左インサイドハーフは、広いエリアを動きながら、右サイドを中心とした攻撃のつなぎ役となることが多かった。これを受けて最終ラインは左サイドバックが落ちる形での3枚になる。その結果、左サイドバックと左ウイングの間には必然的に距離が生まれる。アンカーの扇原貴宏がここに入り、ボールをつなぐこともあるが、多くの場合で左サイドには独力で突破する力が求められる。そのためドリブルが得意な汰木やスピードが武器のパトリッキが起用されてきたのだ。
 しかしこの試合では広瀬と宮代が左サイドを形成したことで、その様相は一変した。試合後に吉田監督も言及したように、広瀬はこのサイドでのつなぎ役となることで、宮代を前に押し出す形を作り出したのだ。試合後、トレーニング時から宮代とはいい関係でできていたと話した広瀬だが、その言葉通り、両者の関係は絶妙だった。広瀬は背後から出てきたボールを受ける際、宮代から離れるように動くことで、時間とスペースを宮代に渡し続けていたのだ。広瀬は相手を抜き切るのではなく、相手を連れて味方から離れ、クロスでゴール前を脅かすという意図をもってプレーしていた。57分の同点ゴールは、そうした広瀬の動きが生み出したゴールでもあった。中央で縦につないだボールをミドルサードの出口付近で武藤が受けた際、広瀬は武藤から離れるように走路を取り、クロスを打てる体勢を整えた。これが宮代の同点弾を呼び込んだ。なおこの時、宮代が見せた素晴らしい動きについては後述する。
 こうした広瀬の動きによって左サイドからの攻撃が活性化し、FC東京の守備は狙いをヴィッセルの右サイドに絞り切れなくなった。広瀬の動きに対しては、今なお傑出したスタミナを見せるFC東京の右サイドバックである長友佑都が奔走していたが、これによって長友を後ろに留める形となり、FC東京の右ウイングである仲川輝人を孤立させることにも成功した。
 両足でボールを蹴ることができるため、左右どちらもこなす器用さを持つ広瀬ではあるが、同時に守備の強さも見せた。無理に突破を図ることがないため、ボール非保持に変わった際、すぐに適切なポジションを取ることができていた。相対する選手に対して、走路を切るように守ることで、相手を自分の間合いに誘導し、球際の勝負を仕掛けるタイミングを図る。この動きが守備の強さの正体だ。元々巧さには定評のある選手ではあったが、球際の強さも併せ持っていることを、この試合で証明して見せた。


 値千金の同点弾を決めた宮代の存在も、ヴィッセルの攻撃に新しい風を吹かせた。この試合で宮代が入った左インサイドハーフは、攻守にわたって鍵を握るポジションでもある。ヴィッセルの基本布陣である4-1-2-3において、このポジションは攻撃時にはセカンドストライカー、そして守備時にはファーストディフェンダーと、局面に応じて役割が変化する。守備時には4-4-2へと可変するためだ。これはエースである大迫を活かすための戦術でもあるが、素早い攻守の切り替えが求められるヴィッセルにおいては、最も頭を使うポジションでもある。試合後、宮代はこのポジションについて「ポジションにとらわれすぎず、空いているスペースに巧く入っていくことを考えています」と語ったが、このポジションに求められる役割は十分に果たしていた。ポジションに求められるものと、自らの個性との折り合いをつけたプレーを続け、「ボールを握る巧さ」と「相手を寄せ付けない強さ」を遺憾なく発揮した。宮代の前進する力が強いため、FC東京の守備陣は手を使う場面が多く、ファウルを多発した。その象徴が70分の場面だ。この場面では広瀬がハーフウェーライン手前から蹴ったボールに対し、宮代は迷うことなく前に出ていった。そして前を行くエンリケ トレヴィザンの背後から巧く体勢を入れ替え、前に出た。これに対してトレヴィザンはたまらず手を絡め、宮代を倒した。これがDOGSOと判断され、トレヴィザンは退場となり、そこで得たフリーキックを大迫が決めた。このトレヴィザンを退場に追い込んだことは、その後の戦いにも大きな影響を与えた。FC東京を率いるピーター クラモフスキー監督は試合後の会見の中で、試合終盤に松木を前に上げ、攻撃の圧力を高める予定だったことを認めた上で、「あの退場が試合を大きく左右した」と語った。
 井出の柔軟性や佐々木の自在性とは異なる宮代の前進する力は、相手の守備を引き付ける。宮代のシュート力を認識しているためだ。これが、結果として大迫や武藤にスペースと時間を渡している。
 57分の得点場面では、宮代の質の高い動きが光った。広瀬が武藤からのボールを受けた際、宮代は広瀬に向かって外を指した後、僅かに動きを止めた。そしてボール方向に身体を向けているバングーナガンデ佳史扶の背後を取るように動き、ファーサイドに入っていった。もしここで動きを止めなければ、バングーナガンデが宮代に気付き、これをマークするように動いた可能性があり、そうなるとシュートの難易度も一気に上がっただろう。さらに宮代の背後にいた松木玖生に対しては、背中を向け続けることでブロックする姿勢を見せていた。ここで宮代が見せた一連の動きは、宮代を取り巻く小さなエリアの中を完全に支配するものであり、宮代の「領域展開」だったと言えるだろう。

 FC東京を率いるピーター クラモフスキー監督は、ヴィッセルの良さを消す戦いを仕掛けてきた。大迫への徹底したマークは他のチームと同様だったが、特徴的だったのはその守備陣形だった。4-3-3でセットしつつも、ヴィッセルが自陣でボールを保持した際は、前線にはセンターフォワードのディエゴ オリヴェイラだけを残し、ヴィッセルの最終ラインに対しては、それほど強いプレッシャーをかけてこなかった。そして両ウイングをヴィッセルのアンカーの高さまで下げることで、中盤を5枚のような形にしたのだ。大迫はセンターバックの森重とトレヴィザンの2人で見る格好とした上で、ヴィッセルのウイングにはサイドバックを当てた。これによって中盤の人数を3対5とすることで、セカンドボールの回収率を高めようとしたのだろう。これによって司令塔の松木にボールを集め、ヴィッセルに対してショートカウンターを仕掛ける狙いだった。
 サッカーにおいて強いチームと対する際は、「自分たちの良さを出す」のではなく、「相手の良さを消す」戦いを挑むのが効率的とされている。過去、ヴィッセルもそうやって、時のチャンピオンチームに挑んできた。しかし今やヴィッセルは挑まれる側に立っている。試合前日、吉田監督は「スパイスを加える」という表現で、戦い方にオプションを増やしていく意向を示した。同時にベースの部分は不変であるとも明言した。対戦相手は「昨季のヴィッセル」を念頭に置き、その対策を考える。「完璧な戦術はない」と言われるように、どんな戦い方に対しても対策は講じられる。どんなに強いチームであっても、同じことを繰り返していれば、やがてその戦術は陳腐化し、時代遅れとなっていく。「現状維持は下降と同義」と言われる所以だ。とはいえ全てを作り替える必要はない。チームの核となる部分は先鋭化し、所属する全ての選手が同等のレベルでこなせるように精度を高めていかなければならない。ヴィッセルにおいては「攻守の素早い切り替え」や「球際の強さ」といった部分だ。これらを備えた上で、「縦に速い攻撃」や「連続性」といったものを維持し、戦い方を広げていく必要がある。吉田監督が目指しているのは、そうしたチーム作りということだ。
 そう考えた時、この試合で広瀬と宮代が見せたプレーは、ヴィッセルの可能性を示唆しているように思う。これまでは独力での突破が主だった左サイドが、新しい連携によって活性化し、そこから得点も生まれた。ここで重要なのはこの左サイドの攻撃は、これまでのヴィッセルのストロングポイントだった右サイドを消すものではないということだ。これまで様々な競技やチームを見てきたが、その多くが新しいものを加える際、それまでの長所を失っていた。せっかくの意欲的な取り組みも、これでは意味を為さない。
 この試合でヴィッセルが見せた姿は、まだ不安定な部分もあるが、進化の方向としては正しいように思う。これこそが前記した「昨季のヴィッセルを超える2つの条件」を満たす1つの解だったように思う。


 こうした感想を抱くことができた背景には、昨季の強さを支えた選手たちの動きがあったことを忘れてはならない。その象徴が本多であり、武藤だった。
 左サイドバックに入った本多は、昨季同様の安定感を見せた。独力で仕掛けることのできる仲川を巧く封じ込め、ペナルティエリア内で決定的な仕事をさせなかった。また、中央が攻められている際は、巧くそのフォローを行い、ボールに寄りすぎることなく人を消す守備で、チームを救った。ボール保持時には右サイドへ大きく展開し、ヴィッセルのストロングポイントを活かすように誘導していた。今季も本多の安定感は頼もしい。
 そして武藤だが、今季初先発の試合で驚異的なスタミナを見せつけた。右サイドを中心に動きつつも、ボールがこぼれた際には誰よりも早く反応し、相手との競り合いには概ね勝利してボールを奪い、前に運び続けた。大迫と並ぶヴィッセルの2枚看板である武藤だが、あれだけのスピードを維持しつつ、90分間走り続けることのできる選手は貴重だ。しかも高いボールスキルを維持したまま、そのプレーを続けるのだから、対戦相手にとってはこれほど面倒な選手はいないだろう。同点弾のシーンでは、広瀬にボールを出す直前、目の前に立った森重に対して小さなキックフェイントを入れることで、森重の足を一瞬止めている。こうしたテクニックを秘めつつも、我武者羅に動き回ることのできる武藤の存在は、相手に混乱をもたらす。「動の武藤」と「静の大迫」の組み合わせは、J1リーグ最強コンビだ。

 次に、この試合で見られたいくつかの課題についても記しておく。1つは最終ラインでのコンビネーションだ。今のヴィッセルは、GKの前川黛也がボール保持時に前に出る場面は少ない。最終ラインからの配球は、中央に構えるマテウス トゥーレルが担うことがほとんどだ。これが悪いわけではないが、前記したようにこの試合ではFC東京のプレスは弱く、最終ラインを高く上げるチャンスは何度もあったように思う。全体で高い位置に進出し、全体を圧縮することについてはもう少し積極的にトライしてもいいように思う。ヴィッセルの目指す「攻撃を続けながら試合を進める」という部分を実現するための鍵は最終ラインが握っている。
 またこの試合ではトゥーレルや山川哲史の個人の力で守る場面は多かったが、前川を含めたコンビネーションという点においては、やや不安定なプレーが見られた。前記したようにFC東京は司令塔の松木の前に、ボールスキルの高い荒木遼太郎が立っており、この両者の関係で細かくボールを動かしてきたため、守り難さはあったと思う。ここでやられなかったことは高く評価するが、この先の戦いに向けてコンビネーションをもう一度高めてほしい。

 またこの試合で途中出場したパトリッキにも、もっとアグレッシブな姿勢を見せてほしかった。自分の前に出たボールへの反応は素晴らしいのだが、ボールのない場面でも、そのスピードを活かしてほしい。相手チームも認識しているパトリッキのスピードで前に立つ選手を引っ張り出すことができれば、スペースが生まれ、攻撃の可能性は大きく高まる。スペースを味方に渡すことも、大きな価値のあるプレーだ。

 最後にプレーとは直接関係ないことだが、全ての選手がジャッジと戦わなかったことは高く評価したい。前記したようにFC東京の守備が手を使う場面が多かったため、主審泣かせの試合となった。そのためボディコンタクトの基準は安定感を欠いていたように見えたが、ヴィッセルの選手は誰一人最後まで判定とは戦うことなく勝利だけを目指し続けた。これはチームが良い状態にあることの証左だろう。

 混戦模様を呈している今季のJ1リーグだが、ヴィッセルにとって強烈なライバルとなりそうなのが、次節で対戦する広島だ。ミヒャエル スキッベ監督の下でサッカーを熟成してきた広島だが、新スタジアム元年という状況も、その背中を押しているのだろう。傑出した選手が多いわけではないが、全体が連動しながら攻守を素早く切り替えていく戦い方には安定感が見られるようになってきた。大迫は試合後、「熱い試合になりそう」とコメントしたが、次節はJ1リーグ序盤の天王山となるだろう。
 大勢のヴィッセルサポーターの声援を受け、この大事な試合に勝利し、チームに勢いをもたらしてほしい。

今日の一番星
[扇原貴宏選手]

スペックの高さを証明した広瀬、チームに勢いをもたらした宮代と最後まで迷ったが、フル出場したことを評価し、扇原を選出した。この試合でもアンカーに入った扇原だが、最後まで広いエリアをカバーし、守備の安定を作り出した。アカデミー年代の頃から能力の高さは有名だったが、その運動量と力強さはヴィッセルのサッカーを支えている。チームにフィットするまで少々時間は要したが、今やヴィッセルにとって欠くことのできない選手になった。スペースを埋め、ボールを巧く配給することでバトルエリアを移動させる能力の長けた選手だったが、今はそこに強さが加わっている。このスタイルを確立するまでの努力は並大抵のものではなかっただろう。この試合では、細かく動くFC東京の選手に対して見事な予測でスペースを潰し、広い視野で危険なエリアを察知し、そこを埋め続けた。時にはゴール前まで戻り、ピンチの芽を摘み取った。アカデミー時代からの僚友である山口蛍とのコンビネーションも良く、守備時に見せる阿吽の呼吸は頼もしい限りだ。笑顔が印象的な優しい表情からは想像もできない球際の強さも魅力な最終ラインの前に立ちはだかる「頼もしき門衛」に今後への期待も込めて一番星。