ニュース/レポート

クラブ2012年5月19日

西野朗新監督就任記者会見全文掲載

本日(5月19日)、都内にて行われました、西野朗新監督就任記者会見の内容を掲載いたします。

【出席者】
株式会社クリムゾンフットボールクラブ会長 三木谷浩史
ヴィッセル神戸 新監督 西野朗


■三木谷浩史会長(以下三木谷)
本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。この度、ヴィッセル神戸の新監督に西野朗さんをお迎えすることになりました。
私どもがヴィッセル神戸の経営を引き受けて9年目ということで、アジア・チャンピオンズリーグ出場、そして優勝を目指して、いろんな意味で強化をしてきたなかで、今年はアジア・チャンピオンズリーグ出場を目指してやっております。
当初、和田監督に今年1年やっていただこうということで、スタートしましたけど、残念ながら、なかなか結果が出ないなか、西野さんにお話しをしまして、我々のクラブのビジョンにご共感していただき、ご協力してもらうことになりました。
クラブとしては、西野監督を全面的にバックアップして、今年度のリーグを戦うとともに、将来に繋げたいと思います。

■西野朗新監督(以下西野)
みなさん、こんばんは。ご無沙汰しております。この度、シーズンの途中ではありますけど、ヴィッセル神戸からオファーをいただきました。
昨シーズンまで現場にいました。今年に入って、シーズンの3分の1が終わろうとしていますが、自分自身も現場への復帰の希望が強くて、そういうなかで、正式にオファーをいただいたのはヴィッセル神戸だけでした。いろいろと話をさせてもらうなかで、神戸のクラブとしての将来的なビジョンを話してもらい、そういうなかで、非常に自分のやり甲斐、チャレンジしていく環境をしっかりと持たせてくれるなと強く思いました。そういう部分と自分の強い気持ちが合致したなかでオファーを受けることにしました。
来週から指揮を執ることになりますが、自分自身こういう形でオファーを受けるというのは、おそらく難しいと思います。自分自身、チームを一変させる魔法を持っているわけではありませんし、サッカー自体もそう簡単に変化させられるというものではありません。不安はあると思いますが、なんとかヴィッセル神戸というクラブのグレードを上げて、チーム力をアップさせて、魅力のあるクラブにしていきたいという強い気持ちがあります。
スタッフ、選手とともに、どういうサッカーができるのか本当に楽しみです。自分自身が経験した指導力をしっかり発揮して、とにかく魅力のある、みなさんに愛されるチーム、クラブにしていきたいと思います。
今日、敗戦しましたが、最近はテレビでも、Jリーグはヴィッセルしか見ていません。選手たちはアグレッシブにやっていますし、なかなか結果には結びついていませんが、間違ったサッカーはしていないと思います。
あまり時間がないなかで、次の試合も近づいていますが、今やっているチームの良いところや選手たちのポジティブな部分を引き出して、次のアントラーズ戦に向けて良い準備をしていきたいと思います。
また、神戸に来て、お世話になりますが、よろしくお願いします。

≪質疑応答≫
-クラブのビジョンに共感した部分というのは?
(西野)環境面など、現状のクラブ力だけではなく、若年層の充実ですとか、将来的にACL、あるいはクラブワールドカップなど、アジアやインターナショナルな、しっかりとしたスタンダードを持ちながらチームを成長させている段階だと思います。これからそういうチームに自分が監督として携わるなかで、やはりトップチームを強化していくことが最善だと思います。そういった環境が整いつつあるクラブのビジョンに非常にやり甲斐を感じました。

-今季の神戸の強みと弱点を現時点でどのように分析していますか?
(西野)テレビ映像のなかでしか見ていませんし、全体を総括していませんので、スタジアムで見たわけではないので、正直、ストロングポイントとウィークポイントがどこにあるのか、正確には分析はできません。ただ、アグレッシブさであるとか、いろんな局面でハードワークを全員でしていくというベースの部分はどの映像からも見られますし、やはり伝統的なクラブのイメージは、堅守速攻というのがチームスタイルにあるのかと思います。そのなかにマッチしたスピーディな選手が起用されて、そういうスタイルを構築している。そういう強さがあると思いますが、やはりアタッキングサードでの攻撃であるとか、自陣でのディフェンスにウィークポイントがある。ただ勝負に対しては執着して取り組んでいるスピリットは強く感じます。

-そういった強みと弱みに対して、西野監督はどのような形で底上げを図りますか?
(西野)これは現場に行って、選手やスタッフと、ピッチに立ってみないかぎり、正確には把握できないと思います。今試合に出ているレギュラーメンバーや、キャリアや背番号で選手を判断したくはない。フラットな目線で選手を明日から見てみたいと思います。
自分自身は初めてJで指揮するわけではありませんし、14年間やってきた経験が生きると思います。また、それが生きる部分と、まったくフラットにして神戸を見ないといけないところがあります。
理想のスタイルを求めることと、現実をしっかり見ていくなかで、チームを作ることが必要だと思いますね。
ただ、守るだけのサッカーは自分の本意ではないですし、やはり攻撃的なスタイルは自分の志向のなかにはあります。ここ10年やったクラブでは、ポゼッションサッカーや、パスサッカーというものをベースとしてチーム作りをしてきましたが、それが果たして神戸に適応するのかは、また別だと思います。もちろん、選手のプレースタイルは違いますし、それを尊重するなかで、また新しいスタイル、戦い方を含めて、チャレンジをしていきたいと思います。

-神戸は選手の数を絞ったり、財政的に削った部分はありますが、このタイミングで西野監督を招へいされた理由は?
(三木谷)チームの強化を考えたなかで「こういう方がいいだろう」、あるいは若い選手をレンタルで何人か出していますが、試合に出られるJ2でやったほうがいいだろうという判断でやってきました。当然、クラブの健全な経営は考えないといけない。あくまで私の考え方は、アジアでナンバーワンのクラブを作る。一気にいくというよりも、しっかりとユース、ジュニアユースを含め、設備面には相当な投資をしてきていますし、これだけ施設を充実させてきたのはここ最近のクラブのなかで一番だと思います。
今年は選手の強化もかなりやってきました。そのなかで、一番、重要なところに西野監督に色んな巡りあわせで来ていただける。最高の監督が我々と一緒にやっていただけることになったので、大変、嬉しく思っています。
CWCで3位まで行ったこともそうですし、五輪代表監督、それからレイソル、ガンバ等、本当にいろんな経験値が高い。監督は現場の社長のようなポジションで、最も重要なポジションに最高の人材を迎え入れることができたと思います。

-昨年、ガンバを退任されたあと、浦和のオファーを断りました。シーズン途中に神戸のオファーを受けることになった心境の変化は?
(西野)心境ですか? 自由がこんなに苦しいとは思わなかったですね。プレッシャーを受けない自分の身体が、毎日フィット感がない。芝生の上にいる自分が一番、フィットしているのかなと感じました。
確かに昨年、あのタイミングでオファーをいただきましたが、それはタイミング的に退任するか、しないかというタイミングでのオファーだったので、それを決断する猶予はありませんでしたし、受けられる状況ではない自分がいました。
ただ、シーズンが終わって、自分がグラウンドにいないと、落ち着かないというか、やはり現場人だなという感じですね。
昨年の暮れくらいから、復帰の希望は持っていましたし、いろんな形でそういう気持ちを発信してきました。それによって、いろいろとリサーチされたところはあります。これは国内だけではなくて、海外からも受けましたけど、本当に正式に強い要請を受けたのはヴィッセル神戸だけなので、そういうなかで自分の気持ちを考えていただいて、光栄なお話をいただいた。
心境の変化は、昨シーズンが終わった直後から現場復帰の想いはあったので、ガラっと心境が変わったわけではないですね。

-将来のコンセプトへの共感という話がありましたが、アジアナンバーワンという目標をどのように考えていますか? また、そのチームのコンセプトとご自身のサッカー人生とどのように重なったのか教えてください。また三木谷会長にお伺いしたいのですが、西野監督へ短期、中期、長期など、こういうことをやってもらいたいというのは?
(西野)08年にガンバがアジアを獲りました。私が就任してからも、かなりのシーズンを費やしたなかでアジアチャンピオンに到達することができました。これは並大抵な目標ではないと思います。それはJリーグのどのチームもが掲げている目標で、それに向けてクラブをあげてとり掛かっている。ヴィッセルもその途中にあると思います。いま、自分自身もイメージやピクチャを取りたいところですが、はっきり描ける形にはなっていません。
目標を目指す途中の段階で、着実にクラブ力を上げて取り組んでいることは非常に実感できますし、僕もそのなかで経験した者として力になっていきたい。もう一度、アジアの頂点に立ちたい。それを実現できるようにしていきたい。日本人の監督では、誰よりもそういう経験させてもらってきたので、それをすべてヴィッセル神戸にぶつけていきたいと思います。

(三木谷)世の中には、目標設定をしたほうがいい人と、しなくても勝手に走る人がいますが、私もサッカーや野球の監督を星の数ほどお会いしてきましたけど、西野監督ほど負けん気が強い人はいないんじゃないかと思っています。我々のほうからこうやってくださいというよりも、西野さんに考えていただいて、それをクラブとして全面的に支えていきたいと思っています。

-半年間、Jの舞台を離れて、外からJリーグを見て感じた部分は? それがご自身のサッカー観に影響があったのでしょうか?
(西野)キャンプから各チームがどういう準備をして、どういうシーズンの入り方をしたというのはもちろん、把握できていません。準備によって、いま3分の1が終わって良いスタートをしているチームもいますし、えっと思うような状況にあるチームもありますし、様々なんだなと思いました。見ているのはつまんないなという感じだけですけど、今年も18チームが拮抗しているなという感じは前半から思っています。
各国のトップリーグの順位は大体、ABCランクでそれぞれの目標設定というのがあります。ボトムのチームが優勝を狙うなんていうことは、先進国ではありえないことです。ただ、日本はどのチームも優勝の可能性がありますし、すべてのチームが優勝を目標にしているといってもおかしくないリーグだと思います。
これは怖いと思います。3ポイントが順位をガラッと変えることがありますし、今年は特にそういう状況にあると思います。突出したチームがなかなか安定してやれていないと思います。
そういうなかで、どのチームもチャンスがあると思います。いろんなやり方によっては、高い目標を設定しても達成できることになると思います。
サッカー自体は、またいろんな監督がやられていて、また違ったスタイルや戦い方が出てきて面白いなと思います。
自分の戦力を十分にしっかり発揮されているゲームが多いと思います。

-改めて目標を教えてください。
(西野)現場にいってから、しっかり戦力や自分のスタッフとの関係を構築していくなかで、正確に高い目標を立てたいと思います。

-まず三木谷会長に質問ですが、今回の契約年数を教えてください。また、西野監督には、ACLという目標を達成できる自信は? また安達ヘッドコーチの処遇を教えてください。
(三木谷)契約年数に関しては非公表なので、差し控えさせていただきたいと思います。
(西野)現場にいって感じて、その上で正確に立てたいと思います。現実的に考えないといけないところもたくさんあるでしょうし、そのズレがないようにしっかりと把握してから目標を立てたいと思います。
コーチングスタッフについても、長年一緒にやってきたブローロを招へいして、現状のコーチングスタッフにふたりが入って、役割分担もそれぞれのタイプもまだ把握していないので、これも現場にいってから考えたいと思います。

-三木谷会長のほうから、全面的にサポートしたいというお話がありましたが、西野監督が今の段階でクラブに要請したいことはありますか?
(西野)ある程度の環境ですとか、編成に関しては、現状高いレベルで整っていると思うので、これも現場に行ってからだと思います。やりながら、早い段階で足りないもの、要求したいものは素直に伝えたいと思いますし、補強の必要であれば、タイミングを見て伝えたいと思います。
すべては選手に会ってから、スタッフに会ってからの判断を正確にしないとと思っています。
必要であれば、積極的に、遠慮なく、要求していきたいなと思います。

 

※西野新監督よりサポーターの皆さんへメッセージが届いています。
公式Facebook(http://www.facebook.com/visselkobe.official)に掲載していますので、是非ご覧ください。

※記者会見の様子は、Ustreamにて録画視聴可能です。こちらからご覧ください。
http://www.ustream.tv/recorded/22693557

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